香港の新卒求人22%減少、AI時代の就職事情とは?

2026年1月~9月の香港の新卒者向け求人が、前年同期比22%減少したことがわかりました。香港最大級の求人サイト「Jobsdb」が発表した採用や給与・報酬に関する調査レポート「Hiring, Compensation & Benefits Report 2027」で明らかになったもので、業界関係者は、AIなどの技術の進歩によって求人の減少がさらに深刻化する可能性があると警告しています。
今回の調査は、2026年8月から9月にかけて、37業界の298社を対象にオンラインで実施されました。回答企業の内訳は、香港ローカル企業が38%、中国系企業が10%、多国籍企業が42%、政府系が3%、非営利組織が7%となっています。
香港の新卒者を取り巻く就職環境は、年々厳しさを増しています。Jobsdbのプラットフォーム上で、新卒者専用の求人が全求人に占める割合は、2023年の9.5%から現在は約6%に低下しました。さらに、求人1件あたりの応募者数も増加しており、新卒者向け求人への応募数は前年より56%増えています。
こうした厳しい状況が続く一方で、企業の新卒採用意欲が完全に失われているわけではありません。調査対象となった298社のうち、約85%が2027年も新卒者を採用する意向を示しています。
企業が新卒者に最も求める能力としては、コミュニケーション力やチームワーク、問題解決能力などの「ソフトスキル」が56%で最多となりました。次いで、面接時の態度や履歴書の内容が51%、インターンシップやアルバイトなどの職務経験が36%、社風への適応度や価値観の一致が34%、語学力が30%となっています。また、73%の企業が2027年の採用要件にAIスキルを含める予定と回答しており、AIを活用できる人材への関心が高まっていることがうかがえます。
香港外の人材の採用についても、企業の考え方が明らかになりました。40%が「香港居住者と香港外の人材を平等に検討する」と回答し、38%は「香港外の人材も検討するが香港居住者を優先する」、22%は「香港居住者のみを採用する」としています。
企業が香港外の人材を採用する理由としては、多言語スキルが39%で最も多く、中国市場や海外市場とのコネクションが35%、同等の能力を持つ香港人材と比較して給与が低いことが26%となりました。このほか、フィンテックやAI、法律、ライフサイエンスなど、香港の人材市場ではまだ十分に確保できない専門スキルも挙げられています。
一方、香港外の人材を採用する際には、さまざまな課題もあります。最も多かったのは、文化の違いによるコミュニケーションの問題で46%でした。続いて、就労ビザの取得など規制の複雑さが31%、言葉の壁による生産性への影響が26%、高い採用コストが26%、引っ越し費用や住宅手当、学費補助などの福利厚生にかかる費用が22%となっています。
2027年の香港の雇用市場については、47%の企業が2026年と同程度になると予想しており、26%はさらに活発になると見込んでいます。
また、2027年の人員計画については、40%が現状維持、24%が増員、9%が削減する予定と回答しました。増員を計画する企業にその理由を尋ねたところ、「事業拡大」が77%で最も多く、「新しい役割やスキルへの対応」が32%、「退職者の後任」が28%となっています。
今回の調査レポート「Hiring, Compensation & Benefits Report 2027」は、Jobsdb(SEEK)の公式ウェブサイトからダウンロードできます。
https://hk.employer.seek.com/market-insights/hiring-compensation-benefits-report-2027