香港名物 建設現場での竹の足場の行く末

更新日:2024年02月28日
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竹足場

香港では高層ビルの建設現場で昔ながらの竹で組んだ足場が今でも広く利用されており、観光の名物にもなっています。世界でも珍しい香港ならではの光景として注目され続けていますが、先週、30階建てビルの建設現場で竹足場が崩壊し作業員が死亡する大きな事故が発生し、金属製に変えるべきとの声もあがっているため、近い将来見れなくなってしまう可能性もありそうです。

竹足場の崩壊事故があったのは2月20日(火)、近年開発が進められているエリア啓徳(カイタック)の新しい30階建て住宅ビル「Pano Harbour(2024年末完成予定)」の建設現場で、高さ15メートル、幅8メートルの竹足場が突然崩壊しました。竹足場の下にいた女性建設作業員2名が竹足場の下敷きになり死亡し、竹足場の上で作業していた女性建設作業員1名が重体となっています。

香港の多くの建設現場で金属製の足場でなく竹足場が利用されている理由は低コストと効率性であり、専門家らは「竹は金属製に比べてはるかに軽く、組み立てや解体が簡単で、コストもはるかに安い」と話しています。一方、労働災害被害者の権利を擁護する会(工業傷亡權益會)の代表は「一般的に金属製の足場の方が竹足場よりも安全である」と話しており、香港エンジニア学会の安全スペシャリスト委員会の会長は「当局が竹足場を段階的に金属製の足場に変えるべき。金属製の足場の方がより安定した素材である」と提案しています。

労働局は現在、竹足場の安全性と安定性の状況確認など2週間にわたる特別検査を実施中です。また、労働局は2017年に発行された竹足場の基準に関する文書「Code of Practice for Bamboo Scaffolding Safety(CoP)」を見直し中であり、足場作業員の安全トレーニング証書に関してや足場作業の監督者のための要件の詳細を記載した改訂版を今年3〜4月に発行予定としています。