米中貿易戦争の香港への影響を懸念

更新日:2018年07月17日
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中継貿易

現在、中国からアメリカへの輸出入でそれぞれ25%の追加関税が課されるという「米中貿易戦争」が勃発しており、貿易の経由地となることが多い香港への影響について懸念が拡大しています。香港メディア東網(on.cc)も、「香港のおもちゃメーカーが中国東莞にある工場を東南アジアに移転することを検討している」と香港内で高まる不安を伝えました。

香港の中小企業国際投資交流協進会の会長であり、おもちゃメーカーを経営する趙志雄氏は「全体の5割を占めていたアメリカ向けのオーダーが、今回の貿易戦争の影響でわずか1割にまで減少。今はアメリカからオーダーの打診があっても怖くて受けられない。当社では中国の工場をベトナムかミャンマーに移転することを検討している。」とコメントしています。

また、香港紡績業連盟名誉会長の林宣武氏は「現時点では紡績関係の輸出品は追加関税の対象となっていないが、今後どうなるかわからないので、輸出拠点を東南アジアに変更し、販売先をヨーロッパや日本・韓国などにも広げるべき」と話しています。

香港政府も米中貿易戦争による影響に警戒しており、商務及経済発展局局長の邱騰華氏は昨日の会議にて「香港経由での中国からアメリカへの輸出は、香港の輸出全体の2.2%を占め、1,300億香港ドル相当となる。現時点では影響は限定的だが、今後の動向に注意する必要がある。」と発言しています。

米中貿易戦争:アメリカは2018年7月6日、アメリカ企業が保有する知的財産権を中国が侵害したとして中国からの輸入品818品目(340億米ドル分)に25%の追加関税を課す制裁措置を発動、これに対して中国も同日、アメリカからの輸入品545品目(340億米ドル分)に25%の追加課税をおこないました。また、7月10日にはアメリカが中国からの輸入品2000億米ドル分にさらに10%の追加関税を課す計画を発表し、9月以降に発動されることで世界経済へのさらなる影響が懸念されています。