2022年12月の香港経済状況と今後の見通し

更新日:2022年12月01日
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外貨

本日は、2022年12月の香港経済状況と今後の見通しとして、香港内の労働人口が2年間で約14万人減少したこと、香港の住宅価格は今後25~30%下落と予想されていること、香港の輸出入量減少がしばらく続くと予想されていること、香港為替基金は3四半期連続の損失となったことをお伝えします。

■香港内の労働人口が2年間で約14万人減少
香港政府の労工及福利局局長の孫玉菡は「香港の労働人口は2020年の第2四半期から2022年の第2四半期の間に約140,000人減少しており、うち約78,000人は25~39歳の若年成人だった。過去2年間の労働人口減少の主な理由の1つは、新型コロナウイルス流行による人口流入の大幅な減少である。香港内での流行が収まり、さらにインバウンドの防疫措置が緩和となれば人口流入は回復するだろう」と述べました。

■香港の住宅価格は今後25~30%下落と予想
投資銀行Natixis(ナティクシス)のアナリストが「香港の住宅価格は2023年に12%下落し、2024年には2%下落する。2021年後半のピークと比較すると25%下落するだろう。海外からの移住者が減少し、海外への移民が増加したことで火に油を注いでいる。新型コロナウイルスの期間に失われた数年、都市としての競争力低下と米中緊張による投資リスク回避の結果、香港の魅力に影響を与えた」とレポートで述べました。

また、ゴールドマン・サックス・グループの10月レポートでは、「2022年の香港の住宅価格は2021年の水準から15%下落、2023年にはさらに15%下落する」との予想が述べられています。

■香港の輸出入量が減少、しばらく続くと予想
香港政府は、10月の香港の輸出量は前年比10.4%減少となり6ヶ月連続減少、輸入量は前年比11.9%減少しており4ヶ月連続減少となったことを発表しました。中国本土への輸出は13%減少、主要貿易国である米国、日本、マレーシア、またドイツへの輸出はいずれも20%以上減少しました。

これを受け香港金融管理局総裁の余偉文は「この状況は続くと予想しており、来年の下半期までは改善しない。3年間にわたる新型コロナウイルス流行、ロシアとウクライナの戦争、中国経済の低迷により起こったインフレの影響を大きく受けている。また、株式、債券、外国為替では数十年ぶりの損失が記録された」と述べました。

■香港為替基金は3四半期連続の損失
香港金融管理局の主要投資部門が管理する香港為替基金は、第3四半期に1,001億香港ドルの投資損失を計上し、3四半期連続の損失となりました。前年同期は40億香港ドルの投資利益でしたが、今年は1~9月に2,655億香港ドルの損失となっています。香港為替基金は、香港ドル紙幣の裏付け資産となる外貨準備金、財政準備金、不動産などを運用管理しています。

香港金融管理局総裁の余偉文は「今年はさらに大きな投資損失を被る可能性がある。2023年の投資環境は非常に不確実で困難が続くだろう」と話しました。

< 香港の新型コロナウイルスの状況 >
香港の新型コロナウイルス新規陽性者数は、昨日8,810人、感染者累計は459,445人、死者累計は10,747人、現在の入院者数は2,739人となっています。ワクチン接種者合計は1回目接種が6,900,293人(94.5%)、うち2回目接種が6,767,631人(92.8%)、3回目接種が5,729,920人(82.4%)、4回目接種が584,645人となっています。