7割のクッキングオイルに発がん性物質や生殖毒性物質

更新日:2017年07月18日
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食用油

香港で販売されているクッキングオイル60商品中、46商品にIARC(国際がん研究機関)が「恐らく発がん性のある物質」と分類しているグリシドールが含まれており、41商品には生殖毒性があるとされるフタル酸エステル類が含まれていると消費者委員会が発表しました。

食の安全を管理する食物安全中心(香港政府機関)は「過剰な量を長期間にわたり摂取しない限りは人体への影響はない」とコメントしていますが、すでに自主的に販売停止をおこなっている企業もあります。

現在の香港には、クッキングオイルに特化した安全基準がないため、食品全般における安全基準に従って生産や販売がおこなわれていますが、フタル酸エステル類は可塑剤(プラスチックを柔らかくする素材)として、洗剤、潤滑油、シャンプーやヘアスプレーなどに添加される物質であり、動物実験では生殖毒性などが確認されています。今回、調査対象となったクッキングオイルのうち以下の5種類は、EUが定めるフタル酸エステル類の含有量の安全基準を満たしていないとして注目されています。

(1)大昌食品優質純正花生油
(2)佳之選調和油
(3)Sunny Meadow Blended Canola Oil and Olive Oil
(4)保得橄欖果渣油
(5)Clearspring Organic Tunisian Extra Virgin Olive Oil Unrefined Cold Extracted

上記のうち(3)は自主的に販売を停止しており、香港の大手スーパーPARKnSHOP(パークンショップ)は該当商品のリコールをおこなっています。

この結果に対して、オイルメーカーである刀嘜(Knife)は、「このような調査結果を事前通知なしに発表する前に製造業者に相談すべきだ!」と不満を表しており、別メーカーである寶鼎(Tripod)の販売業者は、「この調査結果は疑わしい。当社が扱う商品はすべて安全であることを検証済みだ!」とコメント、さらに別メーカーのOlitaliaやRiziは、「自社内で検査をおこなった時は発がん性物質はもっと少なかった!」とコメントしています。

なお、今回調査対象となったは、「ピーナッツ、コーン、キャノーラ、エクストラバージン、オリーブ、サンフラワー、ブレンド」のクッキングオイルですが、オイルの種類について誤解を与えるラベリングも見つかったとして新たな問題も浮き彫りとなりました。

このような結果を受け、消費者委員会は「クッキングオイルに特化した安全基準をすぐにでも定めるべきだ」とコメントするとともに、「例えば、1日にオイルのボトルを半分飲むなどしなければ、過度に心配する必要はない。」と発表しています。