次期行政長官が香港法人税の軽減措置を検討

更新日:2017年03月29日
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先日の選挙で次期行政長官に当選したキャリー・ラム(林鄭 月娥)氏が、中小企業やスタートアップ企業のバックアップを目的とした税制改革案として、年間売上200万香港ドルまでの企業を対象に法人税率を現行の16.5%から10%に引き下げる予定であることを発表。今年7月の就任後すぐに検討委員会を立ち上げると述べました。

キャリー・ラム氏はすでに選挙前のマニフェストで、教育と住宅の不足への取り組みとともに税制改革について公約していましたが、昨日開催されたクレディスイス・アジア投資会議に出席し、税制改革案についてあらためて明言したことで注目が集まっています。

中小企業への法人税減税の他にも、研究開発の促進を目的として、特定の分野(科学、環境保護、アート・デザイン)での追加の優遇措置が検討されているようです。

また国際税務面では、二国間租税協定の協定国増加を検討しています。すでに香港は、日本を含む37ヶ国・地域との間で二国間租税協定を結び、個人や法人が居住国と源泉国の両方で課税されることのないような措置をとっています。しかしシンガポールは、すでに90ヶ国との間で同様の条約を締結しているため、協定国が足りないとの認識を示しています。

クレディスイス・アジア投資会議の出席者により「企業がシンガポールから香港にビジネス拠点を移すとどのようなメリットがあるか」と質問を受けたラム氏は、「香港の魅力として、中国との行き来に便利なだけでなく、自由で生活しやすい都市である」と回答。

住宅不足による住居価格と家賃の高騰などの課題はありますが、法人税の軽減が実現されれば、中国をはじめとする海外進出を考える中小企業にとって香港はさらに魅力的な場所になりそうです。