第7章:父親の育児休暇

父親の育児休暇

以下の条件を全て満たす場合、配偶者またはパートナーの出産につき男性従業員は5日間の育児休暇を付与される。

  1. 男性従業員が新たに生まれる子供の父親(*1)であるか、もうすぐ父親になる場合
  2. 男性従業員が継続的雇用契約にもとづき雇用されている場合
  3. 男性従業員が雇用主に対して育児休暇取得のための通知を行っている場合

育児休暇の取得

  • 男性従業員が以下の通知を雇用主に対してしなければならない。

    1. 子供の出産日の少なくとも3ヶ月前までに父親の育児休暇を取得する意思の通知(この段階では、育児休暇の正確な取得日を通知することを要求されていない)。
    2. 実際に育児休暇を取得する前の取得日通知(*2)
  • 男性従業員が雇用主に対する3ヶ月前の通知を怠った場合、男性従業員は育児休暇を取得する少なくとも5日前に取得日を通知しなければならない。
  • 雇用主が要求する場合、男性従業員は次の事項を記載した書面を雇用主に提出しなければならない。

    1. 子供の母親の名前
    2. 出産予定日または実際の出産日
    3. 男性従業員が子供の父親であること

    (*1)雇用条例における父親の育児休暇の付与では、男性従業員が新しく生まれてくる子供の母親と結婚していることまで要求していない。

    (*2)雇用条例では、事前通知の方法まで規定していない。

    書面のサンプル
    (男性従業員名)(子供の母親氏名)が妊娠した/出産した(*)子供の父親である。子供の出産予定日/実際の出産日(*)は(   日)である。
    (男性従業員署名)
    日付
    (*)いずれか不適正な方を削除
  • 男性従業員は、出産予定日の4週間前から実際の出産日の14週間後までの間に、育児休暇を取得することができる。男性従業員は、一度に5日取得することもできるし、別々の日に取得することもできる。

父親の育児休暇手当

男性従業員が以下の条件を満たす場合、育児休暇手当を受け取る権利がある。

  1. 男性従業員が育児休暇取得日までに、継続的雇用契約のもとで40週以上雇用されている場合
  2. 男性従業員が以下のいずれか早い期間までに、雇用主に対して十分な書類を提出した場合

    (i) 育児休暇を取得した初日から12ヶ月以内

    (ii) 男性従業員が雇用契約を解除した場合、雇用契約を解除してから6ヶ月以内

育児休暇手当の1日あたりの金額は、育児休暇取得日の直前12ヶ月に男性従業員が受給した1日あたりの平均賃金の5分の4に相当する額である。もし男性従業員が1日以上の連続した育児休暇を取得する場合は、育児休暇初日の直前12ヶ月に男性従業員が受給した1日あたりの平均賃金の5分の4に相当する額である。もし男性従業員が12ヶ月より短い期間しか雇用されていない場合、その短い期間で計算する。

注意:平均日給の計算では、次の(i)と(ii)を除外して計算する。

(i) 一部の賃金または全部の賃金が従業員に支払われなかった期間
  • 休息日
  • 法定休日
  • 年次有給休暇
  • 傷病休暇の期間
  • 男性の育児休暇
  • 労働災害による休暇
  • 雇用主の同意を得た休暇
  • 雇用主から仕事を与えられなかった通常の勤務日
(ii) 当該期間に従業員に支払われた金額
  • (詳細は別紙1を参照)

従業員が提出する書類

香港で生まれた場合:
男性従業員が子供の父親であることが記載された出生証明書
香港以外で生まれた場合:
出生地の行政機関によって発行され、男性従業員の名前が子供の父親であることが記載された出生証明書(もし行政機関によって出生証明書が発行してもらえない場合、男性従業員が子供の父親であることを正当に証明できる機関によって発行された他の書類)
注意:香港以外の行政機関が発行した出生証明書の例は、労働局のWebページにて閲覧することができる。

死産または出産後に子供が死亡したことによって出産証明書が発行されない場合

  • 従業員は子供の誕生を証明する診断書(*3)を雇用主に提出しなければならない。
  • 雇用主が要求した場合、従業員は以下の事項が記載されている書面を雇用主へ提出しなければならない。

    1. 男性従業員は、診断書に記載された女性から生まれた子供の父親であること。
    2. 子供が死産または出産後に死亡したこと

    (*3)香港以外で生まれた場合、従業員は診断書または子供が生まれたことが正確に証明できる出生地の機関によって発行されたその他の書類を提出しなければならない。

    書面のサンプル
    (男性従業員名)(医師の証明書に記載された女性の氏名)が出産した子供の父親である。当該子供は出生時に既に死亡した/出生後に死亡した(*)。
    (男性従業員署名)
    日付
    (*)いずれか不適正な方を削除

育児休暇手当の支払期日

  • もし男性従業員が育児休暇取得前に要件を満たす書類を雇用主に提出した場合、雇用主はその従業員に対して以下の条件に従って育児休暇手当を支払わなければならない。

    1. 育児休暇手当の支払は、育児休暇取得後の次の賃金支払日に支払わなければならない。
    2. 男性従業員の雇用契約を解雇した場合は、雇用契約の解除日から7日以内に育児休暇手当を支払わなければならない。
  • もし従業員が、育児休暇取得後に要件を満たす書類を提出した場合は、雇用主は男性従業員に対して以下の条件に従って育児休暇手当を支払わなければならない。

    1. 要件を満たす書類を提出された後、最初の賃金支払日までに育児休暇手当を支払わなければならない。
    2. 男性従業員の雇用契約を解雇した場合は、書類の提出後から7日以内に育児休暇手当を支払わなければならない。

違反と罰則

父親の育児休暇または育児休暇手当を与えなかった雇用主は起訴され有罪となれば、最大5万香港ドルの罰金刑に処せられる。

その他の注意点

雇用主および従業員は、育児休暇および育児休暇手当の付与・請求のための子供の母親に関する個人情報の開示・取扱いにおいて個人情報保護法(第486章)を遵守する義務がある。雇用主は、子供の母親の個人情報を開示する前に、その母親に事前の同意を得ることについて従業員に注意を促すべきである。質問がある場合は、雇用主および従業員は、個人資料私隠専員公署に相談すべきである。

全ての雇用主は、各従業員の直近12ヶ月の雇用期間をカバーする賃金と雇用の記録を常に保存しておかなければならない。該当する場合、これらの記録には従業員が取得した育児休暇および支給された育児休暇手当に関する詳細が含まれていなければならない。

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