第6章:母性保護
産前産後休暇
継続的契約に基づいて雇用されている女性従業員が、雇用主に妊娠したことを通知した場合、その女性従業員は次の産前産後休暇を取得することができる。
- 連続14週間の産前産後休暇
- 出産予定日より実際の出産が遅れた場合、出産予定日から実際の出産日までの追加の休暇期間
- 妊娠あるいは出産に起因する病気や障害によって14週間の産前産後休暇に最大4週間の休暇を追加することができる
産前産後休暇の取得
- 雇用主の同意があれば、妊娠している従業員は産前産後休暇の開始時期を、出産予定日の4週間前から2週間前の間で決定することができる。
- 従業員が産前産後休暇の開始日時を指定しない場合、または雇用主の同意を得ることを怠った場合、従業員は出産予定日の4週間前に産前産後休暇を開始しなければならない。
- 産前産後休暇開始前に出産した場合には、出産日から産後休暇が開始される。この場合、従業員は出産日に関する通知を雇用主に提出し、出産日から7日以内に雇用主に対して14週間の産前産後休暇を取得する意思を伝えなければならない。
産前産後手当
従業員は以下の条件に該当する場合には産前産後手当を受給することができる。
- 女性従業員が産前産後休暇開始日前までに、継続的雇用契約のもとで40週以上雇用されている場合。
- 妊娠が確認された女性従業員が、雇用主に対して妊娠の事実と産前産後休暇を取得する意思を通知した場合。例えば、女性従業員が妊娠が確認できる診断書を雇用主に提示した場合など。
- 雇用主の要求に従い、女性従業員が出産予定日の確認できる診断書を提出した場合。
産前産後休暇は14週間の有給休暇とし、産前産後休暇手当は従業員の通常の賃金支払日に支払わなければならない。
出産休暇の1日あたりの金額は、出産休暇開始日の直前12ヶ月に女性従業員が受給した1日あたりの平均賃金の5分の4に相当する額である。もし女性従業員が12ヶ月より短い期間しか雇用されていない場合、その短い期間で計算する。産前産後休暇の11週目から14週目に対する産前産後手当の上限額は8万香港ドルとする。
雇用主は、通常の賃金支払日に産前産後手当の全額を従業員に支払った後、雇用条例に基づき支払った11週目から14週目の産前産後手当について政府に補助金を申請できる。詳細は労働局が発表する産前産後手当補助金制度の関連情報を参照。
注意:平均日給の計算では、次の(i)と(ii)を除外して計算する。
- 休息日
- 法定休日
- 年次有給休暇
- 傷病休暇の期間
- 女性の産前産後休暇
- 労働災害による休暇
- 雇用主の同意を得た休暇
- 雇用主から仕事を与えられなかった通常の勤務日
- (詳細は別紙1を参照)
違反と罰則
産前産後休暇または産前産後手当を付与しなかった雇用主は起訴され有罪となれば、最大5万香港ドルの罰金が科せられる。妊娠に関連する検診
雇用の保護
次の条件を満たす場合、雇用主は妊娠した従業員を医師の診断書により妊娠していることが確認された日から、産前産後休暇終了後に職場復帰する予定日まで解雇することを禁じている。
- 女性従業員が継続的雇用契約のもとで雇用されている場合、かつ
- 女性従業員が雇用主に妊娠を通知した場合
妊娠中の女性従業員が妊娠の通知をする前に雇用主に解雇された場合、女性従業員は解雇の通知を受けた直後に妊娠の通知を行うことができる。このような場合、雇用主は解雇または解雇通知を取り下げなければならない。
ただし、以下のいずれかの状況では雇用主が妊娠した従業員を解雇することを禁止していない。
- 女性従業員の重大な不法行為のため懲戒解雇された場合
- 試験期間中であると明示的に合意されており、雇用主が12週間以下の試用期間中に妊娠以外の理由で女性従業員を解雇する場合
違反と罰則
上記の場合を除き、雇用主が妊娠した従業員を解雇することは違法である。雇用主は起訴され有罪となった場合、最大10万香港ドルの罰金が科せられる。また、雇用主は解雇した従業員に対して次の金額の合計を解雇の日から7日以内に支払わなければならない。
- 解雇予告手当
- 補償金(*)として、1ヶ月の賃金に相当する追加の金額
- 懲戒解雇の場合を除いて、女性従業員が受け取ることのできたであろう14週間の産前産後手当
(*)計算方法の詳細は別紙1を参照
女性従業員が、条例で定める正当な理由以外で解雇された場合、雇用主に対する雇用保護の救済措置を請求することができる(第10章 雇用保護に対する要件および救済を参照)。重労働、危険業務、有害業務への就業命令の禁止
重量物の取り扱い業務、妊婦にとって有毒ガスが発生する場所での作業、または妊娠に害を及ぼすと診断書に明記されたその他の作業に対して従事することが不適切であるという診断書を妊娠中の従業員が提出した場合、雇用主はそのような業務に妊娠中の従業員を配置してはならない。妊娠中の従業員が既にそのような作業を行っている場合、雇用主は要求を受けてから14日以内にその作業から妊娠中の従業員を配置転換させなければならない。
従業員から提出された診断書が、登録医または登録中医によるものであるかにかかわらず、雇用主がその診断書を受領してから14日以内に、問題のある業務を遂行できるか否かを判断するために雇用主の実費で雇用主が指定する登録医または登録中医が実施する健康診断を従業員に受けるよう要求することができる。
雇用条例では、従業員の賃金が、重労働、危険業務あるいは有害な労働から異動することによって影響を受けた場合、産前産後手当または解雇時の最終賃金は、職務に変更があった直前12ヶ月間に従業員が得た平均日額または平均月額にもとづいて計算することを規定している(計算方法の詳細は別紙1を参照)
違反と罰則
正当な理由なく上記の要求に従わなかった雇用主は起訴され有罪となれば、最大5万香港ドルの罰金刑に処せられる。診断書
従業員は、雇用主が要求する場合、母性保護の恩恵をうけるために登録医、登録中医または登録助産師・登録看護師が発行した診断書を提出しなければならない。詳細については、次の表を参照してください。
証明項目 | 登録医 | 登録中医 | 登録助産師 | 登録助産師 |
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妊娠および出産予定日 | ||||
実際の出産日 | ||||
妊娠・出産に起因する病気または就労不能を理由として産前産後休暇に追加される4週間を超えない期間 | ||||
妊娠中の検査、出産後の治療または流産を理由として欠勤した日 | ||||
重労働、危険業務、有害業務が不適切である理由 | ||||
妊娠に関連する検診のため欠勤した日 |
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