第11章:解雇補償金および長期服務金
解雇補償金および長期服務金の受給資格
下表の条件に合致する場合、従業員は解雇補償金または長期服務金を受給する権利がある。
権利 | 解雇補償金 | 長期服務金 |
---|---|---|
雇用期間の要件 | 継続的契約にもとづき24ヶ月以上雇用されている場合 | 継続的契約にもとづき5年以上雇用されている場合 |
条件・要求 | 従業員が余剰人員整理(*)を理由として解雇された場合 | 以下の条件を除いて従業員が解雇された場合
|
余剰人員整理を理由として、定められた雇用契約期間が満了した後に、更新されなかった場合 | 定められた雇用契約期間が満了した後に更新されなかった場合 | |
従業員が一時解雇された場合 | 従業員が死亡した場合 | |
従業員が健康上の理由で自己都合退職した場合 | ||
65歳以上の従業員が高齢を理由に自己都合退職した場合 |
(*)解雇補償金の場合は、解雇日または定められた雇用期間の満了日の7日以上前に、または長期服務金の場合は定められた雇用期間の満了日の7日以上前に、雇用主が書面により雇用契約の更新、または新しい雇用契約による再雇用を申し込んだにも関わらず、従業員が不合理な理由で申し出を拒否した場合、従業員は解雇補償金と長期服務金の受給権利を失う。
余剰人員整理の意味
以下の事実によって解雇された場合、従業員は余剰人員整理を理由に解雇されたものとみなす。
- 雇用主が事業を停止するか、または停止しようとしている場合
- 従業員が雇用された場所における事業を雇用主が停止したか、あるいは停止しようとしている場合
- 従業員が従事する特定の業務に対する要求、または従業員が雇用された場所において従業員が従事する特定の業務に対する需要が消失または減少した場合、あるいは消失または減少することが予想された場合
一時解雇の意味
雇用者が提供した業務に応じて報酬を支払うというような条件のもとで、従業員が雇用されている場合、雇用主から仕事が提供されていない日数または賃金が支払われない日数の合計日数が、以下の基準日を超えたならば、従業員は一時解雇されたものとみなされる。
- 連続4週間における通常勤務日の半分
- 連続26週間における通常勤務日の3分の1
解雇補償金または長期服務金の金額
解雇補償金および長期服務金の計算にあたっては、次の計算式を用いる。
月給制の場合 | (最終の月額賃金(*)×2/3)# × 算定可能な勤続年数 |
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日給制または出来高払いの場合 | (解雇直前通常の勤務日30日間の中から、従業員が選択した任意の18日間の合計賃金(*))# × 算定可能な勤続年数 |
勤続期間が1年に満たない場合、按分計算しなければならない。
(*)従業員は、この金額の計算のために雇用契約終了の直前12ヶ月の月額平均賃金を選択することができる。
#当該金額は22,500香港ドルの3分の2(すなわち15,000香港ドル)を超えないものとする。(解除予告手当による雇用契約解除の場合は、従業員は解除予告手当の計算に含まれる最終日の直前12ヶ月の月額平均賃金を選択できる。)
計算可能な勤務年数
全ての肉体労働者および1990年6月8日の直前12ヶ月間において月間平均賃金が15,000香港ドルを超えない非肉体労働者については、2004年10月1日以降に雇用契約の解除日がある場合、勤続年数を全て計算する。
1990年6月8日の直前12ヶ月間において月間平均賃金が15,000香港ドルを超える非肉体労働者については、勤続年数は1980年まで計算できるものとする。最高限度額
雇用契約の解除日が2003年10月1日以降の場合、解雇補償金または長期服務金の最高額は39万香港ドルとなる。解雇補償金の支払い
従業員が解雇補償金を請求しようとする場合、解雇日または一時解雇された日から3ヶ月以内に雇用主へ、書面による通知を提出しなければならない。書面による通知の提出期限は、労働局所長が認めた場合、延長されることがある。
雇用主は、従業員から書面による通知を受け取ってから解雇補償金の支払いまで2ヶ月を超えてはならない。
違反と罰則
雇用主が、正当な理由なく解雇補償金の支払いを怠った場合、雇用主は起訴され有罪となれば、最大5万香港ドルの罰金刑に処せられる。長期服務金の支払い
長期服務金は、雇用契約の解除日から7日以内に従業員へ支払わなければないない。
違反と罰則
雇用主が、故意または正当な理由なく長期服務金の支払いを怠った場合、雇用主は起訴され有罪となれば、最大35万香港ドルの罰金刑および3年の禁固刑に処せられる。MPF制度基金、ORSO制度基金および退職慰労金に対する解雇補償金/長期服務金の関係
従業員に解雇補償金または長期服務金を受け取る権利が発生し、かつ以下の場合、解雇補償金または長期服務金の計算に用いた勤続年数に関連する金額を上限として、以下のMPFまたはORSOの給付額と、解雇補償金または長期服務金が相殺される。
- 勤続期間にもとづく退職慰労金またはORSO制度基金( 従業員が積み立てた部分を除く)が従業員に支払われる場合、または
- 従業員のためのMPF制度における積立給付(従業員が積み立てた部分を除く)がある場合、または積立給付が従業員に支払われた場合
(ORSO制度基金またはMPF制度と、解雇補償金または長期服務金との相殺についてご質問がある場合は、信託会社に詳細をお問い合わせください。)
健康上の理由による長期服務金の支払請求
健康上の理由により長期服務金を請求した従業員は、従業員が現在の業務に永久的に従事できない旨を労働局所長が指定した様式で、登録医または登録中医が発行する証明書を雇用主に提出しなければならない。
提出された証明書が登録医または登録中医が作成したかどうかにかかわらず、雇用主が証明書を受け取ってから14日以内に従業員の業務遂行が永久に不適合かどうかのセカンドオピニオンを得る目的で、雇用主自身の費用によって雇用主が指定した登録医または登録中医が実行する医療検査を受診するように従業員に対して命令することができる。雇用主は従業員に対して医療検査が実施される48時間以上前に書面にて通知する必要がある。従業員が死亡した場合の長期服務金の請求
長期服務金を請求する場合の優先順位
- 1番目:
- 死亡した従業員の配偶者
- 2番目:
- 死亡した従業員の子供(もし2人以上が請求した場合、長期服務金は請求者の間で均等に分割される)
- 3番目:
- 死亡した従業員の親(もし2人以上が請求した場合、長期服務金は請求者の間で均等に分割される)
- 4番目:
- 死亡した従業員の個人代理人
申請手順
長期服務金を請求しようとする者は、従業員が死亡してから30日以内に、所定の申請書を雇用主に提出しなければならない。ただし、この30日以内の期間は、労働局所長が延長する場合がある。この所定の申請書は、労働局のどの事務所でも入手することができる。
雇用主は、下表の通り長期服務金を支払わなければならない。
従業員の配偶者 | 申請書を受け取った後7日以内 |
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その他の申請者 | 申込期間が満了した後7日以内 |
違反と罰則
雇用主が、正当な理由なく長期服務金を支払わなかった場合、雇用主は起訴され有罪となれば、最大5万香港ドルの罰金刑に処せられる。香港の雇用条例のガイドブックの内容を含む、人事労務管理のことなら当社にお任せください。人事労務管理の経験豊富な日本人スタッフが香港の法律に基づき丁寧にサポートします。給与計算やMPF(強制積立年金)の手続きなどにも対応しています。