米国が中国・香港に追加関税。少額貨物免税制度も廃止

トランプ米大統領は、中国からの輸入品(香港製品を含む)に対して34%の追加関税を課すと発表しました。4月5日に10%、4月9日に24%という二段階で追加関税が実施され、すでに課されている20%の関税に上乗せされ合計54%がかかることになります。トランプ政権はさらに、5月2日から、中国や香港から米国へ送られる800米ドル(約12万円)以下の少額貨物には関税をかけなくてもよいというルール「デミニミス・ルール」を廃止することも決定しています。
これに対し、中国政府は報復措置として、米国からのすべての輸入品に同じく34%の追加関税を課すと発表しました。一連の動きを受け、香港の財政長官である陳茂波(ポール・チャン)氏は、報道陣から「香港も中国に倣って米国への報復措置を取るのか」と問われましたが、明確な回答は避けつつも、「資本の自由な流動が香港の強みであり、これが変わることはない。もちろん米国の行動に強く反対しており、防衛的な姿勢も必要だ」と述べています。
デミニミス・ルールの廃止については、中国および香港からの輸入品で、国際郵便網を通さずに発送される800米ドル以下の荷物については、適用可能な全ての関税が課されることになります。一方、国際郵便網を通じて送られた800米ドル以下の輸入品については、5月2日から価格の30%または1荷物あたり25米ドルの関税が適用され、6月1日以降は1荷物あたり50米ドルに引き上げられます。
デミニミス・ルールの仕組みを利用して、中国の格安通販サイトTemu(テム)やSHEIN(シーイン)などは、安い商品を直接アメリカの消費者に送ることで急成長しました。デミニミス・ルール廃止により、中国からの格安通販品の値段が上がる可能性があり、TemuやSHEINのような企業にとって大きな影響を与えると考えられています。
トランプ氏は、このルールの変更について「デミニミスルールの適用停止はオピオイド系鎮痛剤(違法薬物)のアメリカへの流入を防ぐ取り組みの一環だ」と説明しています。アメリカでは以前から、中国の安い商品が大量に入ることでアメリカ国内の企業が打撃を受けているという声や、安全性に問題のある商品が流入しているとの声がありました。