福島第一原発の処理水放出に関する香港ニュース
香港旅行大手のEGLツアーズの役員である禤國全氏は、福島第一原発の処理水海洋放出作業が開始されたことで「香港での9月〜11月の日本行き団体ツアーの申し込みが20%減少した。しかし悪影響は2~3週間以内に解消されるだろう」と話しています。
香港では10都県(東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉)からの水産物(活き、冷蔵、冷凍、乾燥、海塩、海藻)の輸入を禁止しました。環境及生態局の謝展寰局長は日本の水産物のお土産持ち込みについても説明し「10都県から水産物の輸入禁止は、販売および商業目的の輸入製品のみに適用される。個人が少量を香港に持ち込む分には法律で規制されない。しかし、放射線被ばくのリスクがあるので、これらの地域からの水産物は香港に持ち帰らないことをお勧めする」と話しており、あわせて「10都県からの輸入禁止は食品の安全性を十分に保護するものであり、禁止の範囲が拡大される可能性は低い」と話しました。
マカオでも10都県からの水産物の輸入を禁止しており、さらに加工品、野菜、果物、牛乳と乳製品、肉類とその加工品、卵類などを含む生鮮食品、動物由来の食品の輸入を禁止しており、日本から航空便で訪れた人の所持品検査も強化すると発表しました。なお、中国本土では全ての都道府県からの水産物の輸入を禁止しています。昨日は、中国本土とマカオでは塩の爆買いが相次いだことで話題になりましたが、中国当局もマカオ政府も「塩の在庫は十分にある」と買いだめを控えるよう呼びかけています。
香港の飲食業の協会である香港餐飲聯業協會の幹部であり日本食レストラン3軒を経営するマーティン・チャン氏は「他県からの食品は引き続き輸入できるため、10都県からの輸入禁止措置による飲食業界の影響はそこまで大きくないと考えている。10都県からの輸入食品はわずか10%程度で、日本食レストランの基本的な運営に大きく影響はしない。最大の影響は食品の安全性に対する市民の信頼となる。6月に処理水放出の計画が発表された後は売上が30~40%減少した。影響を受けた飲食店が回復するには少なくとも3~6ヶ月かかるので、当局は財政支援や補助金を提供すべき」と話しています。