香港の旧正月のお節料理、盆菜(プンチョイ)とは

更新日:2022年01月18日
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盆菜プンチョイ

香港では旧正月に「盆菜(プンチョイ、Poon Choi)」と言う、日本のお節料理にあたるものを食べる習慣があります。盆菜とは、一つの大きな器に調理された鶏、あひる、魚、エビ、牡蠣、豚、湯葉、シイタケなどが盛り付けられる料理であり、旧正月前に手間ひまかけて手作りをしますが、最近は好みのレストランやホテルでの購入や宅配依頼をすることが一般的となりました。

盆菜(プンチョイ)は色々な場所で購入できますが価格差も大きいです。高級盆菜は、ザ・ペニンシュラ香港やインターコンチネンタルなどの高級ホテルで購入ができ4人前で約2,000香港ドルからが目安です。低価格な盆菜は、大家楽(Cafe De Coral)や大快活(Fairwood)などの大衆レストランで購入ができ6人前で700香港ドルからが目安です。最近では日本式の盆菜として、牛角グループが「温野菜としゃぶしゃぶ盆菜」を988香港ドル(4人用)で提供しています。

盆菜の歴史は数百年あります。香港の新界(ニューテリトリー)エリアの元朗(ユンロン)あたりでは原住民の伝統的料理とされており、その昔は新年だけでなく新居への引っ越し、祖先の霊堂の開廟など、おめでたい出来事があった際に、盆菜でお祝いをしていました。昔は十分な数の器を持っていなかったため、一つの大きな木の器に料理が盛り付けられていたようですが、現在はステンレスや陶器の鍋が使用されることが多くなり鍋ごと温められるようになりました。また1990年代になると都心部の住民らにも人気が出てきたとのことです。

盆菜の起源は諸説ありますが、今回は2つの説を紹介します。1200年代の南宋末期に軍人・政治家の文天祥という人物がおり、自国がクビライ(モンゴル帝国の第5代皇帝)に滅ぼされ、文天祥が現在の中国深セン市あたりまで逃げてきた際に、村人たちが保存していた豚肉、大根、魚やエビなどありったけの食材を木の器に盛って差し出したことが始まりという話。もう一つは、南宋末期に宋の皇帝が敵軍から逃げ出し、現在の香港の元朗にたどり着いた際に、元朗の村民が貴重な食物を木の器に盛って献上したという説です。

盆菜の見た目は茶色一色です。簡単な調理方法により作られているようにも見えますが、実際には「炒める、揚げる、焼く、蒸す、煮る」などを絶妙な火加減を調整しながら調理していき、最後に大きな器に盛り付けしています。基本的な食べ方は、ひとテーブルに1つの盆菜、テーブルに座っている人だけで盆菜をいただきます。さまざまな調理法により作られた豊かな食材を、みんなで囲んで食べることで一体感ある幸せな雰囲気が醸し出されます。伝統的な食べ方のマナーとしては、何層にも重なる食材はかき混ぜずに上から順に食べていくものですが、現在はかき混ぜることも許容されており、我慢できない人は先に味が染み込んだ大根を底から取り出して食べるのだとか。

盆菜の一般的な食材は「鶏、豚、豚の皮、イカ、湯葉、大根、ブロッコリー」などの身近にあるものですが特に規定はなく、現代では、大きなエビ、魚の浮袋、髮菜(髪の毛のような海藻)、牡蠣、乾燥ウナギなどが入るようになりました。高級食材である、アワビ、ナマコ、フカヒレや毛肚(牛の胃の一部)が入っているものも見かけるようになりました。昔は盆菜と一緒にご飯だけを食べていましたが最近はヌードルやうどんと合わせて食べる人もいるようです。なお、伝統的には村人が客人に敬意を払うために、最良で新鮮な食材だけを入れるもので、村人にとって安価とされる野菜はあまり入れずに肉やシーフードを主に入れていたようです。