第二の香港?海南島が自由貿易港に

更新日:2025年07月24日
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買い物天国

中国政府は、2025年12月18日より、海南島全体を自由貿易港として正式に運用開始することを発表しました。これに伴い、島内では独立した税関運営を実施し、中国本土とは異なるルールで物品や人の流通が管理される見通しです。

海南島の自由貿易港の取り組みは2020年から段階的に進められており、現時点で、関税ゼロで輸入できる商品は1900品目ですが、12月18日からは6600品目に拡大し全体の約74%となります。残りの約26%の品目には引き続き5~25%の関税がかかります。

この取り組みは、中国の税関用語で「封関運営(ふうかんうんえい)」と呼ばれます。海南島全体を「国境内にありながら関税の対象外」として扱う制度で、「一線解放」により島と海外との貿易は自由に行える一方、「二線管理」によって島から中国本土へ物品を移す際には管理・課税が行われるという特徴があります。

輸入品の加工により製品価値の30%以上が海南島で付加される場合は、本土販売時に関税免除となります。また、海南島原産の商品は中国本土に入る際の関税が免除されますが、付加価値税または消費税は課税されます。

海南島は観光においても「中国のハワイ」と呼ばれているリゾート島となっており、2025年上半期の訪問者数は前年同期比48%増の66万3000人に達しました。現時点では、日本を含む59か国からの渡航者に対し、30日以内の滞在であればビザなしで入国できる措置が適用されていますが、12月18日からは85か国からの渡航者がビザなしで入国できるようになります。

香港も税関が中国本土から独立しており、基本的に全ての商品において関税が完全にゼロです。今後は海南島が香港のライバルとなるとの見方もありますが、専門家によると海南島は「観光や製造業」で発展を目指し、香港は「金融と専門サービス」に強みがあり、競争しながらも協力できると考えられています。今後の動きに注目が集まりそうです。