広東省でチクングニア熱拡大 香港政府が警戒強化

更新日:2025年07月23日
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感染症

2025年7月20日時点で、中国広東省仏山市では、蚊が媒介するウイルス性疾患「チクングニア熱」の感染が2,285件確認されました。患者はいずれも軽症とされていますが、香港政府の衛生防護センターはマカオおよび広東省の保健当局と緊密に連携し、感染防止対策を強化しています。現時点で香港における感染報告はありませんが、マカオでは海外からの輸入症例が1件確認されています。

世界保健機関(WHO)によると、2025年6月上旬の時点で、14の国・地域において22万件を超えるチクングニア熱の感染が報告されており、死亡例は約80件に上っています。地域別ではブラジルが14万件超と最多で、アジアではパキスタンで5,000件以上、インドでも多数の感染が推定されています。

チクングニア熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカといった蚊がウイルスを媒介する感染症です。厚生労働省によれば、潜伏期間は通常2~12日(多くは3~7日)で、多くの患者は発熱と関節痛を訴えます。発疹は約8割に見られ、関節痛は手足の関節に強く現れるのが特徴です。一部の患者では、症状が回復した後も関節痛が数週間から数か月間続くケースがあります。その他の症状には、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れなどが含まれます。

日本国内では海外から帰国した際に確認される輸入症例のみが確認されており、2019年に459件、2020年に43件、2021年に8件、2022年に98件、2023年に175件、2024年に231件、2025年は3月時点でインドネシアからの帰国者に1件の輸入症例が確認されています。香港では2019年に輸入症例11件が確認されて以来、2020年以降は毎年0件となっています。

香港衛生防護センターの総監である徐樂堅氏は、「夏季の高温と降雨量の増加により、香港での蚊の発生が懸念される。加えて、夏休み中の旅行の増加により、蚊が媒介する感染症の流入および拡大リスクが高まる」と述べ、個人レベルでの予防対策の徹底を呼びかけました。香港政府は出入境管理所での健康監視を強化しており、体温検査の実施や、発熱症状のある旅行者の医療機関への搬送体制も整備しています。