香港の2022年の経済状況と今後の展望
本日は、香港の2022年の経済状況と今後の展望として、住宅価格が下半期に最大10%下落する可能性があること、電子消費券の配布でGDPが1.2%押上げられる予想だが来年の配布は未定であること、2022年のインフレ率は2.1%と穏やかなレベルにとどまる可能性が高いことをお伝えします。
■香港の住宅価格が最大10%下落の可能性
ブルームバーグ・インテリジェンスは、香港の住宅価格が下半期に最大10%下落する可能性があると予想しています。同社のアナリストPatrick WongとFrancis Chanは「HSBCホールディングスとスタンダードチャータード銀行が香港の住宅ローン金利の上限を0.25%引き上げることで、住宅価格は下半期に5~10%下落し、買い手の購買力が試される可能性がある」と話しました。
■電子消費券の効果と来年の配布について
財政司司長の陳茂波(ポール・チャン)は「香港政府が配布した居住者への電子消費券10,000香港ドル(約17万5千円)はGDPを1.2%押上げられると予想しており、電子商品券がなければマイナスとなった。5,000香港ドルの消費券配布時には、一人あたり平均4,000~8,000香港ドルの消費が増え、雇用創出や中小企業への貢献にもつながった。2022年度の経済成長予測は現在マイナス0.5%~プラス0.5%。」と話しました。
来年の電子消費券の配布は分からないとしており、2022年に電子消費券を配布することに600億香港ドル以上の費用がかかったこと、香港政府の印紙税や土地売却による収入が減少していること、米国のインフレ、中国本土都市のロックダウンによるサプライチェーンへの影響などの経済的な不安があることも話しました。
■香港のインフレ率は2.1%と穏やかなレベル
財政司司長の陳茂波(ポール・チャン)は「2022年のインフレ率は2.1%と穏やかなレベルにとどまる可能性が高い。世界のエネルギー価格の高騰は米国とヨーロッパのインフレを加速させたが、香港での電力と輸送は消費者物価指数の約3%しか占めてないので影響は小さめだ。消費者物価指数の40%を占める住宅支出は減少しており、中国本土からの生鮮食品と野菜の供給は安定しているため、物価上昇は3月ピークからわずかに緩和している。米国を含む多くの先進国が利上げに乗り出しており、米国は来月に再び利上げをおこなうと市場が予想している。香港では預金および貸出金利が上昇しそうだ」と伝えました。
< 香港の新型コロナウイルスの状況 >
香港の新型コロナウイルス新規陽性者数は、木曜6,054人(入境時・隔離中の発見243人、香港市中感染5,811人)、金曜6,445人(入境時・隔離中の発見185人、香港市中感染6,260人)、土曜6,389人(入境時・隔離中の発見179人、香港市中感染6,210人)、日曜6,513人(入境時・隔離中の発見237人、香港市中感染6,276人)、感染者合計は373,053人(陽性者合計1,458,238人)、死者合計は9,605人、入院者数は1,995人となっています。
ワクチン接種者合計は1回目接種が6,796,734人(93.3%)(シノバック3,008,629人、ビオンテック3,788,105人)、うち2回目接種が6,558,234人(90.1%)(シノバック2,871,929人、ビオンテック3,686,305人)、3回目接種が4,804,884人(70.2%)(シノバック1,755,931人、ビオンテック3,048,953人)、4回目接種が273,482人(シノバック123,460人、ビオンテック150,022人)となっています。
衛生防護中心のAlbert Auは「オミクロン株BA.5が関与する症例の割合が30.2%に上昇しており、近い将来さらに増えると予想する」と話しています。