展示会で貴金属宝石の取引、無登録で逮捕
2024年2月27日~3月2日に開催された、日本企業の参加も多い宝飾品関連の国際展示会「香港国際ダイヤモンド、ジェム&パール・ショー 2024」で、香港の会社が無登録で12万香港ドル以上の取引を行った疑いで3人が逮捕されました。新しく始まったばかりの「貴金属および宝石の取引業者の登録制度」に関係するため、以下に詳細をご案内します。
香港では2024年1月1日以降、香港に登記しているすべての貴金属および宝石の取引業者が、12万香港ドル(約230万円)以上の取引を行うには、香港の税関に事前に登録が必要となっています。この貴金属および宝石の取引業者に対する登録制度は、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策として新しく開始された制度であり、違反した者は最大10万香港ドルの罰金と6ヶ月の禁固刑となります。
貴金属および宝石の取引業者とは、以下a、b、c、dのいずれかを行う者です。
a. 貴金属、宝石または宝飾品の売買、輸出入
b. 貴金属、宝石または宝飾品の製造、精製、付加価値作業の実施
c. 貴金属、宝石または宝飾品の資産の権利を与える証明書や金融商品の発行、償還、取引
d. 上記a、b、cの仲介
なお、貴金属とは「金、銀、プラチナ、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム 」、宝石とは「ダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルド、翡翠、真珠」のことを言います。また、「貴金属および宝石が取り付けられている時計や宝飾品」も貴金属および宝石と同様に扱われます。金融商品については、証券先物条例で定められている有価証券、デリバティブ、暗号資産等は対象外となります。
登録制度には以下の2つのカテゴリーがあります。
a. 一回もしくは関連取引で120,000香港ドル以上の非現金取引のみを行う者は、カテゴリーA登録者となります。
b. 一回もしくは関連取引で120,000香港ドル以上の現金取引および非現金取引を行う者は、カテゴリーB登録者となり、AML/CTF(マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策)の監視の対象となります。
また、香港に事業所を持たない香港非居住者の個人または香港外に設立された法人で、香港での貴金属および宝石の取引日数合計が1年間で60日以内のときは、「non-Hong Kong precious metals and stones dealer(香港外の貴金属および宝石の取引業者)」と呼ばれ、12万香港ドル以上の現金取引をおこなった場合は税関へ現金取引報告書を提出しなければなりません。現金取引報告書には「渡航情報、取引者(代理人がいる場合は代理人も)の詳細、顧客の詳細、取引の詳細」を記入し、提出は取引後1日以内、または香港出発のいずれか早い方に行う必要があります。提出を怠った場合、違反行為となり最大5万香港ドルの罰金と3ヶ月の禁固刑となります。
貴金属および宝石の取引業者の税関への登録は、以下、税関のページからフォームをダウンロードし必要書類と共に提出する必要があります。当社でもサポートが可能ですので、必要な方は当社までお気軽にお問い合わせください。
https://www.drs.customs.gov.hk/index