2024/25年度の香港財政予算案が発表
香港政府が2024/25年度の香港財政予算案を発表しました。2023/24年度の財政収支は、1,016億香港ドルの赤字となる見込みです。財政予算案では、毎年発表されている個人所得税や法人税の減免に関する項目のほか、居住用不動産の印紙税の廃止が注目されています。また、今年は増税関連の項目が目立っており、高所得者への増税、タバコ税の増税、ホテル宿泊税の再導入などがあります。その他にも話題となっている内容と合わせて、香港に関わる日本人の方にとって有益となるような情報を選択してお伝えいたします。
■個人支援についての項目
・2023/24年度の給与税及び個人所得税が100%減免(上限3,000香港ドル)
・2024/25年度の第1四半期について、居住用不動産の固定資産税を減免(上限1,000香港ドル)
■企業支援についての項目
・2023/24年度の法人税を100%減免(上限3,000香港ドル)
・2024/25年度の第1四半期について、非居住用不動産の固定資産税を減免(各物件につき上限1,000香港ドル)
■居住用不動産の印紙税の廃止
居住用不動産にかかる印紙税「額外印花税(SSD)、買家印花税(BSD)、新住宅印花税(NRSD)」は全て直ちに廃止となりました。2010年より、当局は不動産投機を抑制し、住宅価格の高騰を防ぐために追加の印紙税を課してきました。額外印花税(SSD)は24ヶ月以内に転売された不動産に課され、買家印花税(BSD)は非永住者および企業に課され、新住宅印花税(NRSD)は2軒目の住宅購入者に課されていました。最近の住宅市場の低迷を受け、これらを廃止することが決定しました。
■高所得者への増税
給与所得税(Salaries Tax)について、2024/25年度より、年収500万香港ドル(約9600万円)を超える場合は2段階税率となり、500万香港ドルまでは15%、500万香港ドルを超える部分は16%の税率となります。政府は約12,000人が対象となると見積もっており、これにより政府に年間約9億1000万香港ドルの収入が見込まれています。
■タバコ税の増税
昨日2月28日(水)より、タバコ税が1本あたり0.8香港ドル(約15円)値上げとなりました。20本入りの1箱の値段は16香港ドル(約300円)値上げとなります。これまで香港で平均的なタバコ1箱の値段は78香港ドル(約1,500円)でしたが、値上げ後は94香港ドル(約1,800円)となります。
■ホテル宿泊税の再導入
2025年1月1日より、ホテル宿泊代金に3%のホテル宿泊税が追加となります。香港ではかつてホテル宿泊税が存在していましたが2008年より廃止されていました。これにより政府に年間11億香港ドルの収入が見込まれています。
■会社登記料の増額
会社設立時に香港政府へ支払う会社登記料(Business Registration Fee)は、2024年4月1日より200香港ドル増額され年間2,200香港ドルとなります(徴費の150香港ドルは2年間免除)。これにより政府に年間2億9,500万香港ドルの収入が見込まれています。
■観光促進の4つのアプローチ
香港政府観光局は観光促進のため3年間で9億7,100万香港ドルを4つのアプローチに割り当てると発表しました。1つ目は多様な観光体験の開発で、尖沙咀の光のショー「シンフォニー・オブ・ライツ」のリニューアル、毎月の花火大会やドローンショーの開催、街歩きや離島旅行のプローモーションなどで計3億5,400万香港ドルを割り当て。2つ目は大規模な国際イベントの企画と支援で1億香港ドルを割り当て。3つ目は香港訪問の市場の開発と強化であり、香港行きの個人旅行ビザが新たに取得できるようになった西安と青島などでプロモーションを開始し1億7,600万香港ドルを割り当て。4つ目は観光業界と協力して観光客数のキャパシティを強化することと発表しています。
■電気自動車に対する減税の延長
政府は電気自動車に対する減税措置を2年間延長し2026年3月31日までとします。ただし、初年度登録税の減免の上限は現在は97,500香港ドルですが2024年4月からは58,500香港ドルに引き下げられます。また、古い車を廃棄して電気自動車に交換する際は現在は最大287,500香港ドルの還付を受けることができますが、2024年4月からは172,500香港ドルに減額されます。