フォーブスが香港で最も裕福な50人の2024年版を発表
米国の経済雑誌フォーブスが2024年版の「香港で最も裕福な50人(Hong Kong’s 50 Richest)」を発表しました。1位は昨年と同様、香港最大の企業グループである長江実業の創設者である李嘉誠(リカシン)で純資産362億米ドル、昨年の390億米ドルから28億米ドル減少(7.2%減少)しました。
※このランキングでは複数名の家族を1人として数えている場合があります。
1位:李嘉誠(リカシン)95歳、長江実業グループ
純資産362億米ドル。長江実業グループの株価は過去1年間で20%下落しています。現在、売上を確保するために自社開発の住宅プロジェクトの販売価格を値下げしています。李嘉誠は1928年に中華民国の広東省潮州市に生まれ、子供の時に父が亡くなり一家を養うために高校を中退しプラスチックの貿易会社で働き始めました。1949年香港にプラスチックの工場を作り造花を売り出したところ大当たりし、その後は不動産業に転身し今に至ります。
2位:李兆基(リー・シャウキー)96歳、恒基兆業地産 純資産270億米ドルで昨年から10.9%減。李兆基は1928年に広東省順徳市で生まれ、父親が金や為替取引の事業を運営していたため子供の時から経営を学ぶ。20歳で起業のため単身で香港に渡り、30歳の時に不動産事業を成功。
3位:鄭家純(ヘンリー・チェン)77歳とその家族、周大福
純資産221億米ドルで昨年から23.5%減。2016年に死去した不動産開発大手の新世界発展の創業者の息子で、周大福ジュエリーグループの会長でもある鄭家純とその家族。
4位:李文達(Lee Man Tat)91歳で死去の子供たち5人、李錦記有限公司
純資産177億米ドルで昨年から8.3%減。オイスターソースを発明した大手調味料メーカー李錦記有限公司の創業者の孫である李文達(2021年に91歳で死去)の子供たち5人。
5位:吳光正(Peter Woo)77歳、會德豐
総資産137億米ドルで昨年から18.9%減。1972年からニューヨークのチェース・マンハッタン銀行で勤務していた際に海運会社のBW Group創業者の包玉剛の娘と出会い、結婚して家業に参加。2015年まで不動産会社の會德豐(Wheelock)の会長を務めた。
6位:劉鑾雄(Joseph Lau)72歳、華人置業
純資産131億米ドルで昨年から0.8%減。元々は家族で扇風機製造事業をしていたが、メインの事業を投資に切り替え、1986年に不動産デベロッパー華人置業の株式43%を取得し大株主となった。2014年まで華人置業の会長を務めた。
7位:呂志和(Lui Che Woo)94歳、銀河娯楽集団
純資産121億米ドルで昨年から18.8%減。マカオのカジノリゾート施設ギャラクシー・マカオを運営する銀河娯楽集団と、不動産デベロッパー嘉華国際集団(K. Wah International)の創業者。
8位:郭鄺肖卿(Kwong Siu-hing)94歳、新鴻基地産
純資産114億米ドルで昨年から25.0%減。不動産デベロッパー新鴻基地産の創業メンバーの1人である郭得勝(1990年死去)の未亡人で、新鴻基地産の大株主。2008年から2011年までは新鴻基地産の会長も務めた。
9位:蔡崇信(Joseph Tsai)60歳、アリババグループ
純資産85億米ドルで昨年から変化なし。アリババグループの共同創設者であり、台湾生まれのカナダ国籍保持者。ニューヨークの法律事務所で働いた後、投資会社Investor ABで働いていた時にジャック・マーと出会いアリババを創設し、財務および法的体制を確立した。
10位:蔡志明(Francis Choi)78歳、旭日國際
純資産82億米ドルで昨年から変化なし。世界最大のおもちゃメーカー旭日国際の創設者。元々はおもちゃの販売員。25歳の時におもちゃ工場を設立し5年経たずして従業員300人まで成長させた。
50人全体を合わせた総資産は2,960億米ドルで昨年から約9%減、リスト50人のうち30人が昨年より資産減少しています。フォーブスは「IPO市場と不動産セクターの低迷により、新型コロナウイルスのパンデミック後の回復は予想よりも遅れている。指標となるハンセン指数は、1年前から28%下落した」と解説しています。
なお、資産が大きく増加したのは、14位の海運王Helmut Sohmen(ヘルムート・ゾーメン)で、純資産62億5,000万米ドルで昨年から13.6%増。ヘルムート・ゾーメンはオーストリア人の実業家で海運会社BW Groupの会長です。所有するオスロ上場タンカー会社Hafniaの株価が過去1年で約15%上昇したことで資産が大きく増加しました。
香港で最も裕福な50人(Hong Kong’s 50 Richest)は以下フォーブスのオフィシャルサイトからも閲覧いただけます。
https://www.forbes.com/lists/hong-kong-billionaires/