香港の幼稚園と小学校の生徒数が減少
香港政府教育局が発表した幼稚園、小学校、中学・高校の生徒数の統計で、2020/21年度の生徒数が2019/20年度に比べて16,716人減少していることが分かりました。教育者の間では「今後さらに減少する恐れがある」と懸念を示す意見や「教育機関の競争力を高める良い機会だ」と前向きに捉える意見があるようです。
2019/20年度の生徒数は幼稚園174,297人、小学校373,228人、中学・高校327,394人の計874,919人。2020/21年度の生徒数は幼稚園164,935人、小学校364,257人、中学・高校329,011人の計858,203人でした。
香港メディアRTHKでは、新型コロナウイルスの影響で中国本土在住の生徒が入れなかったこと、香港国家安全法の施行を理由に香港を離れた家族がいることが原因だと伝えています。
私立学校へ政府補助金を割り当てている教育局の機関DSS(直接資助計劃)のディオン・チェン会長は、RTHKのラジオ番組に出演し「留学は高学年になってからするのが一般的だったが、最近は中学1年生の時点で中退して留学する生徒が増えてきた。夏休みにさらに多くの生徒が中退し9月は生徒数がさらに減るだろう。留学先として人気があるオーストラリアとニュージーランドはまだ国境を開いていないため、国境が開けばさらに中退者が増える可能性がある。DSSの補助金を受けている学校の中には、生徒1,000人中160人が中退した学校もある」と話しました。
また、ディオン・チェン会長が校長を務めていた港青基信書院(YMCAがスポンサーのDSS中学・高校)では今年の中退者数は2倍となっており50人の欠員があるとのこと。DSS学校は親にとても人気が高く以前は順番待ちリストがあったが現在は生徒募集のために広告を出さないといけない状態のようです。
香港資助小学校長会のチョン・ヨンポン名誉会長は、「政府支援の小学校も同様の問題に直面している。小学校の複数の学年にわたり欠員がある。同じ学校に通う2、3人の兄弟が一緒に中退する可能性がある。十分な生徒数を確保できない場合、将来的にいくつかの学校を閉鎖しなければならない可能性もあり得る」と述べました。
一方、香港大学教育学部の上級講師であるヴィンセント・ウォンは、「あまり心配していない。景気が低迷する中、あるいは出生率が低下する中、学校間の競争力は高くあるべきだ。香港で生徒数が減少したのは初めてのことではないし、乗り越えられる十分な自信がある。学校のリーダーがこれらの変化を大切にし、生徒をより革新的で前向きな方向に導けばよい」と話しました。
< 香港の新型コロナウイルスの状況 >
香港の新型コロナウイルス新規感染者数は昨日1人(域内感染者0人)、感染者合計は11,981人、死者合計は212人となっています。ワクチン接種者合計は1回目接種が約3,132,700人(人口の約41.8%)(シノバック1,238,500人、ビオンテック1,894,200人)、うち2回目接種が約2,332,100人(シノバック948,700人、ビオンテック1,383,400人)となっています。