香港の5人に1人が貧困層と政府発表

更新日:2018年11月20日
LINEで送る
Pocket

貧困状況レポート

香港政府による「貧困状況レポート2017」が昨日公表され、香港人口全体(約700万人)のうち20.1%(137万7千人)が貧困層であると発表されました。エリア別では、貧困率の高い地区は上位より「観塘区(クントン)」「深水埗区(シャムスイポー)」「黄大仙区(ウォンタイシン)」となっており、低い地区は上位より「中西区(セントラルなど)」「湾仔区(ワンチャイ)」「西貢区(サイクン)」となりました。

貧困の定義とは「世帯収入の中央値の半分未満」となっています。例えば、1人暮らしでは月収4,000香港ドル(約57,480円)、2人暮らしでは世帯月収9,800香港ドル(約140,826円)、3人暮らしでは世帯月収15,000香港ドル(約215,550円)より低い収入の場合が貧困層となります。

香港政府の政務司司長の張建宗氏は「貧困層の増加は高齢化、経済成長、人口構成の変化などが要因となるが、政府による補助金支給などの対策は成功している」、「昨年は最低賃金が時給32.50香港ドル(約467円)から34.50香港ドル(約496円)に引き上げられるなど低所得層の賃金も改善している」など前向きにコメントしています。実際に、政府が貧困対策として実施している補助金支給などを考慮に入れると貧困層は14.7%(100万9千人)に減少します。

なお貧困率については、OECD(経済協力開発機構)などが国際的に使用している「相対的貧困率」がもととなっており、日本でも貧困率の計算には同様の定義が使用されています。日本では、2015年に厚生労働省が公表した「国民生活基礎調査」によると、世帯年収122万円未満が貧困と定義されており、人口全体の15.7%となっていました。