東大准教授が香港へ移籍 給与3倍・研究費10倍
東京大学の准教授を務めていた量子物性理論の研究者、渡辺悠樹(わたなべはるき)氏が、香港科技大学の物理学科教授に就任しました。この移籍は日本と香港で大きな関心を集めており、待遇面では「給与が従来の約3倍、研究費は約10倍」といった条件が大きく取り上げられています。
渡辺氏は「量子物性理論の中堅世代では世界でも10本指に入る」と称され、数々の賞を受賞しています。2010年に東京大学理学部物理学科を卒業し、2015年にカリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得しました。その後、2016年に東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の講師に就任し、2019年からは准教授を務めていました。
日本経済新聞のインタビューでは、「東京大学の准教授に就任してから7年がたち、教授への道を考えていた。東大にはポストの空きがなく、京大など複数の国立大学に応募しつつ、海外にも目を向けていた。香港から提示された条件が圧倒的に良かったため、移籍を決めた」と語っています。
香港科技大学は1991年創立の比較的新しい大学ながら、研究力を背景に短期間で世界的な評価を確立しています。最新のQSアジア大学ランキング2026ではアジア6位(東京大学は26位)に入り、QS世界大学ランキング2026では世界44位にランク付けされています。
香港科技大学は渡辺氏に対し、研究室の立ち上げ資金として、最初の5年間で約1億円の研究費を提示しました。一方、東京大学では、教授の場合でも研究費は年間約200万円程度とされています。
さらに渡辺氏は「これまで准教授だった時の給与は年額で約1000万円で、教授の場合でも最高で2000万円ほど。加えて、手当などは大学によって異なり、実際の金額は給与が振り込まれるまで分からない。香港では住居費の補助や健康保険、年金、引越し費用まで書類に明記されており、日本より手厚く、総額で約3倍になった」と話しています。
