香港政府、2026/27年度の財政予算案を発表
香港政府は、2026/27年度の施政運営に関わる財政方針を示す「財政予算案」を発表しました。これは香港の歳入・歳出計画や経済政策の方向性を示す年次予算であり、今後の経済運営を左右する重要な政策文書です。
今回の予算案では、個人所得税や法人税の減免上限の引き上げ、個人所得税の基礎控除額の引き上げ、高額不動産に対する印紙税の引き上げなどが注目されています。全体としては、財政再建を進めつつ、イノベーション投資の拡大、国際金融センター機能の強化、観光・文化振興、住宅供給の拡充などを柱とする内容となっています。
なお、2025年の実質GDP成長率は3.5%となり、3年連続でプラス成長を維持しました。また、政府の財政赤字が連年懸念されていましたが、財政全体の収支は当初予算の約670億香港ドルの赤字から29億香港ドルの黒字に転じました。
今回の予算案に含まれる主要な施策のうち、香港で活動をする日本人にとって有益な情報を以下にまとめました。
■個人所得税の減免
給与税・個人所得税の減免(2025/26年度):100%減免(上限3,000香港ドル、前年の1,500香港ドルから引き上げ)
■法人税の減免
法人税の減免(2025/26年度):100%減免(上限3,000香港ドル、前年の1,500香港ドルから引き上げ)
■基礎控除額の引き上げ
個人所得税の基礎控除額を132,000香港ドルから145,000香港ドルへ引き上げ。
■子女免税額の引き上げ
子女免税額および追加子女免税額(出産から2年間)を130,000香港ドルから140,000香港ドルへ引き上げ。
■高額不動産への印紙税引き上げ
1億香港ドル以上の住宅物件に対する印紙税率を4.25%から6.5%へ引き上げ。年間約10億香港ドルの増収を見込む。
■電気自動車の買い替え制度の廃止
古いガソリン車から電気自動車へ買い替える際に初回登録税を最大172,500香港ドル減免する優遇制度は、2026年3月31日で終了。
以下は、各分野における政策の概要です。
【住宅・土地政策】
■公営住宅供給
今後5年間の公営住宅総供給量は約196,000戸を見込む。
■商業用地販売
来年度も一般商業用地の新規売却は実施しない。
【イノベーション・産業政策】
■ AI推進策
約1億香港ドル規模の資金を投じ、AI活用を推進する体制を整備。交通、雇用、防災など行政分野でのデジタル転換を加速させる。
AI教育強化のため5,000万香港ドルを投入し、AI関連コースやコンテストを実施。職業訓練局ではAIを必修科目とする。
■低空経済の推進
最大100億香港ドル規模の資金を活用し、ドローン管制システムの整備や越境物流の試験飛行を検討する。
■製造業イノベーション
元朗イノベーションパーク内のマイクロエレクトロニクスセンターに、初の海外国家製造業イノベーションセンターを設置する。
【金融・税制・国際戦略】
■人民元建て債券の定期発行
オフショア人民元市場の発展を後押しするため、人民元建て債券の定期発行を行う。
■本店移転優遇 企業の香港への本部機能移転を促進するため、5%の優遇税率制度を新設する。
■グリーン施策
グリーン燃料船舶に対する港湾使用料減免措置を導入する。
■MPFの完全自由化拡大
2025年5月1日以降入社の従業員を対象に、MPFの「完全自由化」を実施し、個人の資産管理権限を強化する。
【医療・文化・観光】
■中医学振興
中医学・国際医療の発展を推進するため、「中医学発展基金」に5億香港ドルを注入する。
■観光振興
来年度、香港観光局に16.6億香港ドルを拠出する。
■新たな光と影のショー
従来の「シンフォニー・オブ・ライツ」に代わる新たな光と影のショーを導入する。
■アート市場強化
Art Baselとの今後5年間の提携を確定。資金調達や人材育成支援策を検討し、世界三大アート取引センターとしての地位強化を図る。
【交通・航空】
■東莞空港センター
東莞空港センター第一期ターミナルが来年稼働開始予定。東莞と香港国際空港の物流チェーンを強化する。
■SKYTOPIA構想
香港国際空港周辺に航空・物流・商業・レジャー機能を集積した空港都市「SKYTOPIA」を創出。
■民間航空協定
より多くの民間航空協定締結を推進し、中東や南米を含む地域との旅客便増便を目指す。
【その他】
■悪天候下での証券取引継続による税収
台風などの悪天候下でも証券取引を継続する制度により、約25億香港ドルの株式取引印紙税収入をもたらした。
更なる詳細は香港政府のオフィシャルサイトよりご確認ください。
香港政府2026/27年度財政予算案
https://www.budget.gov.hk/2026/eng/index.html
