12月21日は冬至。香港の慣習とタブー(2025)
12月21日(日)は、2025年で最も昼の時間が短くなる「冬至」です。中国の陰陽思想では、冬至は「陰が極まり、ここから陽が生じ始める転換点」とされ、運気や生命力が上昇へ向かう節目の日と考えられてきました。
香港でも冬至は重要な日とされ、家族が集まって食事をする慣習をはじめ、いくつかの伝統的な習わしやタブー(禁忌)が存在します。ここでは、2025年の香港メディアで紹介されている内容をもとに、代表的な慣習とタブーを整理します。
◆香港・冬至の主な慣習
1.家族全員での団らん食事「做冬飯」
冬至当日は、家族が揃って食事をすることが最も大切な慣習とされています。これを「做冬飯」と呼び、企業によっては社員が早めに退勤できるよう配慮されることもあります。家族で食卓を囲むこと自体が、「家族円満」や「血縁の結束」を象徴すると考えられています。
2.湯圓(トンユン)を食べる
香港を含む中国南方地域では、冬至に湯圓(白玉団子のような甘い団子)を食べる習慣があります。丸い形は「円満」や「団円(家族の和)」を象徴し、子どもに対しては「湯圓を食べると一つ年を取る」と言われることもあります。
3.火鍋・盆菜など冬の滋養料理
近年は、伝統と現代の食文化が融合し、火鍋や盆菜(香港の伝統的な大皿料理)を囲む家庭も増えています。体を温め、栄養を補う食事は、冬至の「養生」という考え方と深く結びついています。
4.ホコリを掃く
冬至を迎える前に家の中を掃除し、汚れを落とすことで、新年に向けて幸運や祝福を迎え入れると考えられています。
5.祖先や神仏への供養
家庭によっては、祖先を祀ったり、神仏に供物を捧げたりする習慣もあります。家族の無事と、来年一年の順調を祈る意味合いを持つ伝統的な風習です。
◆冬至における主なタブー(禁忌)
1.湯圓を奇数で食べない
湯圓は偶数個食べるのが良いとされ、奇数は「欠け」や「不完全」を連想させるため避けられます。
2.夜更かしをしない
冬至は陰陽が切り替わる重要な日とされ、夜更かしは陽気を損なうと考えられています。健康面・運気面の双方から、早めに休むことが良いとされています。
3.夜間の外出を控える
民間信仰では、冬至の夜は「陰の気」が強まるとされ、特に用事がなければ夜間の外出は避けるべきと語られることがあります。
4.口論や不吉な言葉を避ける
冬至は家族運に関わる日とされ、喧嘩やネガティブな発言は慎むべきとされています。この日の雰囲気が、来年一年の家庭運に影響すると信じられています。
5.伝統的には性行為を控える
古い風習の中には、冬至は陰気が最も強い日であるため、性行為を控えるべきとする考え方もあります。現在では必ずしも守られているわけではありませんが、伝統的な禁忌の一つです。
6.大規模な工事やリフォームをしない
冬至の日に土木工事や大きな改修を行うと運気を乱すという考え方もあり、風水思想に基づくタブーとして語られています。
7.(一部地域の旧習)既婚女性は実家に帰らない
現在ではほとんど意識されていませんが、古い慣習として「外嫁女は冬至に実家へ戻らない」という言い伝えも存在します。
近年の香港では、これらの慣習やタブーを厳格に守る家庭もあれば、象徴的に取り入れるだけの家庭も多く見られます。その中でも、「冬至に家族が集まって食事をする」という習慣は、今なお世代を超えて大切に受け継がれています。
