大埔の火災、死者146人に 被災者支援と救助活動進む

更新日:2025年12月01日
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火災

11月26日に香港・大埔(タイポー)で発生した大規模火災後の捜索で、さらに多くの遺体が発見され死亡者数は146人に増加したと香港警察が発表しました。この火災は1970年代以降の香港で最悪規模の火災であり、約1,900世帯が火災の被害を受けています。負傷者は79人で、依然として40人以上が行方不明となっており、146人の死亡者のうち54体は身元確認ができていません。建物への被害も甚大で、住居を失った世帯が多数となっており約1,500人の被災住民がホテルやユースホステルなど緊急宿泊場所へ移動しています。

◯火災原因と捜査、責任者の逮捕
火災の原因は、高層マンション群の改修工事で使われていた竹の足場と防護ネット、そして窓ガラスを保護するために取り付けられていた可燃性の高い発泡スチロールに引火したことで延焼拡大につながったとされており、捜査と責任追及の動きが進められています。
香港の独立汚職取締委員会(ICAC)は、以下の関係者を逮捕したと発表しました。
 ・ 改修プロジェクトのコンサルティング会社の4人(取締役2人とプロジェクト監督責任者2人)
 ・ 足場工事の下請け業者3人
 ・ 仲介業者1人

また、香港建造業議会は、建設現場における安全基準の強化を検討していると発表しました。

◯被災者への現金・生活支援進む
ここ数日、募金・寄付活動が進められており、香港政府は拠出した3億香港ドルに加え9億香港ドルの寄付金を受け取り、計12億香港ドル(約240億円)を被災者支援のために積み立てています。まずは、約1,900世帯の被災世帯に1世帯あたり1万香港ドルの緊急現金給付を支給します。犠牲者のご遺族には20万香港ドルが支給され、葬儀費用および関連費用として5万香港ドルが支給され、納骨堂の費用は免除されます。また、今週から被災世帯には5万香港ドルの生活手当が支給されます。

企業からの支援も多くあり、地下鉄を運営するMTRコーポレーションは、被災住民に2,000香港ドルずつがチャージされたオクトパスカード(日本でいうSuica)を配布することに加え、1,000万香港ドルを寄付しました。その他、一般の方々からの生活必需品の寄付なども行われており、オンラインマーケットプレイスのCarousell(カルーセル/日本でいうメルカリ)では、救援物資の寄付に関するページを立ち上げています。

◯大埔の学校、段階的に授業再開
大埔の学校では、本日からオンライン授業などで段階的に授業を再開しています。影響を受けた生徒やその家族に連絡を取り、学業上の配慮、精神的サポート、教科書、制服、文房具などの支援を提供するために対応を進めています。

◯火災現場で動物救助、73匹が無事
火災現場で動物(ペット)の救助も行われ、動物虐待防止協会は91匹の動物(猫、犬、魚、げっ歯類、カメ)を発見し、そのうち73匹が生き残りました。