超音波でがん治療「ヒストトリプシー」45分で腫瘍消滅

更新日:2025年10月23日
LINEで送る
Pocket

肝臓がん

超音波マイクロバブルでがんを治療する「ヒストトリプシー」を用いた医療機器の導入が香港の病院で昨年から始まり、これまでに168人の患者の治療に使用されました。肝臓がんの闘病を10年続けてきた患者が、今年2月に再発し、4月に初めてヒストトリプシーを受けたところ、45分以内に腫瘍が消え、痛みもなく翌日には退院して食事ができたそうです。この結果は、新しい治療法として大きな期待を集めています。

ヒストトリプシーは、超音波を一点に集中させて腫瘍を破壊する新しいがん治療技術です。アメリカのミシガン大学と、ミネソタ州ミネアポリスに本社を置く医療機器メーカー「ヒストソニックス(HistoSonics)」が共同で開発しました。 体を切らずに治療できる非侵襲的な方法で、手術のようにメスを入れる必要がありません。そのため回復が早く、周囲の血管や正常な組織をほとんど傷つけずに治療できます。これまで治療が難しかった肝臓などの腫瘍にも、新しい選択肢として期待されています。

香港は、アジアで初めてヒストトリプシーを導入した地域です。2024年9月、香港大学が李嘉誠(リー・カーシン)財団からの寄付を受け、ヒストトリプシーシステムを1台導入し、クイーン・メアリー病院で臨床試験を開始しました。

さらに今年4月には、香港中文大学にも新たに1台が導入されています。香港中文大学病院ではこれまでに26症例を扱い、25人の患者が治療に適していました。チームは5人の医師で構成されており、1回の治療に平均2時間を費やすため、勤務時間内には1日に最大4人の患者を治療できるとのことです。

日本では、ヒストトリプシーはまだ導入されていませんが、2025年10月8日、グンゼ株式会社の連結子会社であるグンゼメディカル株式会社が、米国のヒストソニックス社と「ヒストトリプシープラットフォーム」に関する日本国内での独占販売契約を初めて締結したと発表しました。今後は、日本国内での製造販売の承認や保険適用の取得を目指して進めていく予定となっています。

< ヒストソニックス社(ヒストトリプシー) >
https://histosonics.com/