香港で最高レベルの台風警報シグナル10が発令中

超大型台風18号「ラガサ(Ragasa)」が香港から約100キロメートルに接近し、最高レベルの台風警報「シグナル10」が発令されています。シグナル10発令中は市民は屋内避難が義務となっています。公共交通機関や航空便の大規模な運休、看板の落下、洪水や倒木などの被害、さらに家族が高波にのまれ意識不明の重体となる事故も発生するなど、深刻な状況が続いています。シグナル10は当面継続すると発表されており、引き下げの見通しは示されていません。
バスやフェリーは全て運休。地下鉄MTRは屋外区間(エアポートエクスプレス含む)が全面運休となり、屋内区間のみ一部運行しています。西九龍と中国本土を結ぶ高速鉄道も全線運休で、25日(木)には一部再開や調整が行われる見込みです。空港では旅客便が運航を当面停止し、一部の貨物便のみ運航予定です。
香港島東区の杏花邨(Heng Fa Chuen)や沙田の城門河(Shing Mun River)では水位が急上昇し、周辺道路は深刻な冠水に見舞われています。さらに、香港全域で倒木が90件報告され、看板の落下や工事現場の足場の崩落など、各地で危険な状況が相次いでいます。
また、シグナル8が発令中の昨日午後3時25分ごろ、柴灣(チャイワン)の防波堤では、家族で波を見ていた5歳の少年と38歳の母親が大波に巻き込まれ、海に流される事故が発生しました。40歳の父親が救助を試みましたが、少年と母親は意識不明の重体で集中治療室(ICU)に入院中です。警察は「悪天候下でのこのような行動は自身の安全を脅かすだけでなく、救助に当たる警察官や消防隊員にも危険を及ぼす。無責任な行動を避け、安全な場所にとどまり、海岸から離れてほしい」と市民に呼びかけています。なお、本日午前6時の時点で、病院管理局によると8人が負傷し、公立病院の救急外来を受診したとのことです。
香港での台風警報は「シグナル1・3・8・9・10」の5段階があります。数字が大きいほど風が強く、生活への影響も大きくなります。
シグナル1:日常生活に大きな影響はないが、台風情報に注意。
シグナル3:屋外活動やフェリー運航に注意が必要で、幼稚園が休校になることもある。
シグナル8:学校・会社・金融機関・一部交通機関が休みとなり、勤務中の従業員も帰宅を指示される。
シグナル9:建物被害や飛来物の危険が高まり、屋外活動は禁止。市民は屋内で避難・待機。
シグナル10:最大級の台風直撃。大規模停電や浸水、交通全面停止など深刻な被害が想定される。