香港初の中国医学の大型病院、将軍澳で12月開業

更新日:2025年09月10日
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漢方医

香港の将軍澳で建設が進む香港初の中国医学の大型病院「香港中医医院」が、2025年12月から段階的にサービスを開始します。開業当初は外来診療と日帰り入院を提供し、翌年以降は順次入院サービスも導入する予定です。同院は、大学との連携により医療・教育・研究を推進し、香港における中医学発展の拠点となることを目指しています。

同院の卞兆祥・行政総監は、臨床サービスについて「純粋な中医診療だけでなく、中医を主体とした中西医融合モデル(中国医学と西洋医学の長所を組み合わせた医療アプローチ)も取り入れる」と説明。診療科は内科、外科、骨科、小児科、鍼灸、骨傷の6分科に分け、患者がより明確な診療指針に基づいて医師を選びやすくし、公立病院の負担軽減にもつなげたいとしています。

さらに、香港浸会大学(浸大)、香港中文大学(中大)、香港大学(港大)の3大学と協定を結び、大学との連携で医療・教育・研究を推進します。各大学の中医薬専門家が臨床に参加するほか、大学の中医診所から患者の紹介も受け入れます。また、これらの大学で中医学を学ぶ学生は、必ず香港中医医院で臨床実習を行うことになっており、経験を補うため、一部の研修は中国本土の病院で行う場合もあります。

浸大中医薬学院の李敏院長は「広東省中医病院は3,000床以上を有し、症例も多い。学生にとって内地での臨床経験は欠かせない」と話しました。

また、式典に出席した盧寵茂・医務衛生局局長は、「香港中医医院を大学の教育病院として活用し、臨床サービスの充実に加えて中医や中薬の国際化を後押ししたい」と強調。大湾区や中国全体における中医薬の発展を支える原動力となることに期待を寄せました。

香港中医病院はすでに大部分の人員採用を終え、現在は内部研修を実施中。早ければ10月中にも料金体系を発表する見通しです。