スリッパで叩く呪いの儀式「打小人」に長蛇の列
昨日3月6日は、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる日「啓蟄(けいちつ)」であり、香港では嫌いな(憎い)相手に呪いをかける儀式「打小人(ダーシウヤン)」がおこなわれる場所で長蛇の列がみられ、呪いたい相手の絵が描かれた紙を呪文を唱えながらスリッパで何度も叩く光景が沢山みられました。
打小人(ダーシウヤン)がおこなわれている有名スポットは、銅鑼湾(コーズウェイベイ)のタイムズスクエアの近くの鵝頸橋の下であり、毎日のようにスリッパで叩きつける呪いの儀式がおこなわれています。打小人の「小人」とは、自分に不幸や災いをもたらす人のことで、スリッパで小人を打つ人物は拝神婆と呼ばれる女性です。呪いたい相手が男性であれば男性の絵が描かれた紙、女性であれば女性の絵が描かれた紙に相手の名前を書き、拝神婆が呪文を唱えながら古いスリッパや靴で何度も叩き続け、最後には燃やします。仕事、恋愛、ビジネスなどが順調となるよう、邪魔者を寄せ付けないように相手の名前を書かずに打小人を依頼する人もいるようです。香港政府は打小人を無形文化財に指定しています。
打小人は鵝頸橋の下をはじめ一般的に橋の下など陰鬱な場所でおこなわれます。三叉路、橋の下、道の側などは死人の魂が集まりやすいと言われています。特に三叉路は殺気が強い場所であり、悪人(小人)を拘束しやすく倒すことができると言われています。それ以外にも打小人を寺でおこなう場合もあるようです。
なお、啓蟄(けいちつ)とは、1年を24分割した二十四節気の考え方で毎年3月5日前後となり、2023年は3月6日が啓蟄でした。啓蟄は、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる日とされており、打小人の儀式に最適な日と言われています。
打小人を拝神婆に依頼する場合の金額は50香港ドル前後となります。依頼人は老若男女問わず幅広くみられ香港外から訪れる人も沢山います。香港メディア香港01では、夫の愛人を追い出したい台湾からの観光客、大金を返さない友人を懲らしめたい中国本土からの観光客もいると伝えています。興味のある方は訪れてみてはいかがでしょうか。