ヘルパービザの取得や費用などの詳細
香港には共働き夫婦が多いため、住み込みの外国人ホームヘルパー(ヘルパー)を雇用して家事や育児をサポートしてもらうことが一般的です。ヘルパーの国籍は主にフィリピン人とインドネシア人であり、2年間有効なヘルパービザ(Foreign Domestic Helper Visa)を取得して香港の各家庭で働くことになります。
ヘルパーの給与額は香港政府が定める最低賃金(Minimum Allowable Wage)以上が条件であり、最低月給は2020年1月時点で4,630香港ドルと設定されています。ヘルパーの食事は無料支給するか、月額1,121香港ドル以上の食事手当の支払いが必要です。その他にも雇用主が負担する費用にはビザ申請費用、保険加入、医療費、航空券(入国・帰国)などがあります。
ヘルパーに依頼できる仕事
- 雇用主宅の掃除、料理、育児等の家事。
- 食べ物などを同居中の家族に届ける。
- 必要費用を支給した上での買い物。
- 介護が必要な家族や子供の送り迎え。
- 偶発的な来客への食事や飲み物の準備。
- 自家用車の洗車。
ヘルパーに依頼できない仕事
- 雇用主の別荘や別家庭での仕事。
- 別宅を提供した、通いでの仕事。
- 車の運転(必要な場合は別途申請)。
- 病院での看病(雇用主の家族でも不可)。
- マッサージ(リハビリの場合は可)。
- 体を乗り出した危険な窓掃除。
目次
香港政府が定めるヘルパービザの審査基準
香港政府が定めるヘルパービザの審査基準を日本語で解説します。ヘルパービザは以下の審査条件を満たしていれば許可されます。
- 雇用主に、十分な収入または資産があること。(月収15,000香港ドル相当以上)
- 雇用主は、香港政府の定める最低賃金以上の給与をヘルパーに支払うこと。
- 雇用主は、香港居住者(香港IDカード保有者)であること。
- 雇用主は、イミグレーション指定の雇用契約書(ID407)をヘルパーと締結すること。
- 雇用主は、プライバシーのある居住スペースと宿泊設備をヘルパーに与えること。
- 雇用主は、ヘルパーに対して第三者の元での就労依頼や就労許可をしてはならない。
- ヘルパーは、雇用契約書内の「居住環境と任務」に従い雇用主の家事業務のみを行うこと。
- ヘルパーは、雇用契約書内に記載された雇用主の自宅に居住し働かなくてはならない。
- 雇用主とヘルパーの両方に法律違反や契約違反などの履歴がないこと。
ヘルパービザの申請サポート費用と必要書類
ヘルパー雇用に向けた当社サポート費用と必要書類をご案内します。ビザ更新はヘルパービザの更新(延長)をご覧ください。当社では日本人のビザ専門家が完璧なビザ資料を作成して取得までをサポートします。ヘルパービザの取得に成功すると、2年間有効なビザが発給され、雇用契約を更新した場合は更に2年間のビザ延長が認められます。
ヘルパービザの申請サポート費用 4,000香港ドル
サービスに含まれる内容
必要書類の案内 / ビザ資料作成・提出 / イミグレ担当官への交渉 / 追加資料連絡への対応 / ビザシール対応(支払い、受取り、発送)ヘルパービザを申請するための必要書類
ヘルパービザを申請するための必要書類をご案内します。ヘルパーや雇用主の状況により、ご準備いただく書類が増えることがあります。
雇用主
- ヘルパー雇用申請書(ID988B)
- 香港IDカードのコピー
- 財務状況証明書のコピー
- 住居証明書のコピー
- パスポートのコピー(永久居民でない方)
ヘルパー
- ヘルパービザ申請書(ID988A)
- 雇用契約書の原本(ID407)※認証必須
- パスポートのコピー
- 香港IDカードのコピー(保有者の場合)
- 雇用解除の通知書(ビザ保有者)
- ヘルパー歴の証明書(初回ビザ申請者)
ヘルパービザの申請から取得までの期間と流れ
雇用予定しているヘルパーのビザ状況により、ビザ申請から取得までの流れは変わります。雇用予定のヘルパーが以下の1~4のどれに該当するかを確認のうえ、期間と流れをご確認ください。
1. ヘルパービザを持っていない申請者
ヘルパービザを持っていない申請者のビザ審査期間は、香港イミグレーションに申請書類を提出してから4~6週間となり、取得までの流れは以下のようになります。書類に不備があると審査が長引くことがありますので、ヘルパー雇用が決まり次第、ビザ資料を香港イミグレーションに提出するのが良いでしょう。
- ヘルパーの採用決定後、当社にビザ取得のお問合せ・ご依頼をいただきます。
- 当社にてビザ取得の流れと必要書類をご案内し、サポート費用をお支払いいただきます。
- 当社が用意する政府指定の雇用契約書に雇用主とヘルパーが署名します。
- ヘルパーは署名をした雇用契約書を持ち、出身国の公的機関で認証を取得します。
- 認証後の雇用契約書を受取り次第、当社が約5営業日でビザ資料を完成させます。
- 当社スタッフが完成したビザ資料を持ち、香港イミグレーションに提出します。
- 約1週間後、香港イミグレーションから受領確認の連絡が届きます。
- 約4~6週間の審査期間を経てビザの「許可、追加資料、不許可」の連絡が届きます。
- 許可となると香港イミグレーションでビザシール(ラベル)を取得できます。
- 当社にてビザシールを受取り、郵送または手渡しします。
- パスポートにビザシールを貼り、香港に入国すればビザが有効となります。
2. ヘルパービザを持っている申請者(現在の雇用主との契約が満了する方)
現在の雇用主との契約が満了する方で、次の雇用主が決定しているヘルパーは、現在の雇用主との契約満了日の4週間前から新たなヘルパービザを香港イミグレーションに申請することができます。ビザ資料の提出はヘルパー本人がおこなう必要があり、資料提出後には香港イミグレーションからのインタビューを受けることになります。当社の経験上、ヘルパービザの申請から取得までにかかる期間は約4週間であり、取得までの流れは以下のようになります。
- ヘルパーの採用決定後、当社にビザ取得のお問合せ・ご依頼をいただきます。
- 当社にてビザ取得の流れと必要書類をご案内し、サポート費用をお支払いいただきます。
- 当社が用意する政府指定の雇用契約書に雇用主とヘルパーが署名します。
- ヘルパーは署名をした雇用契約書を持ち、出身国の公的機関で認証を取得します。
- 認証後の雇用契約書を受取り次第、当社が約3営業日でビザ資料を完成させます。
- 当社が香港イミグレーションのサイトからビザ申請日の予約をおこないます。
- ヘルパーは予約日にイミグレーションを訪問し、書類提出とインタビューを受けます。
- その後、ヘルパーの次回訪問日と持参書類が案内されたレターを受け取ります。
- 約4週間後、パスポート、レター、ビザ費用を持ち、香港イミグレーションを訪問します。
- 問題がなければパスポートに新しいビザシールが貼られ、ビザ取得が完了となります。
下記は香港イミグレーションが用意しているビザ申請の予約ページです。手続きに不安のある方は当社にてサポートしますのでお問合せください。
3. ヘルパービザを持っている申請者(前雇用主との契約が途中で終了した方)
特別な事情(雇用主の香港外へ移住や帰国、死亡、財務状況の悪化、ヘルパーへの虐待)がなく前雇用主との雇用契約が途中終了したヘルパーは、一旦本国に帰国することがルールとなっています。本国への帰国後「①ヘルパービザを持っていない申請者」の申請手順で新たにヘルパービザを申請・取得することになります。
4. ヘルパービザを持っている申請者(前雇用主との契約が特別な事情で途中終了した方)
前雇用主との契約が特別な事情(前雇用主の香港外への移住や帰国、死亡、財務状況の悪化、ヘルパーへの虐待)で途中終了した場合についてのビザ取得の流れは以下となります。ビザ資料の提出はヘルパー本人がおこなう必要があり、資料提出後は香港イミグレーションからのインタビューがあります。当社の経験上、ヘルパービザの申請から取得までにかかる期間は約6~7週間となります。
- ヘルパーの採用決定後、当社にビザ取得のお問合せ・ご依頼をいただきます。
- 当社にてビザ取得の流れと必要書類をご案内し、サポート費用をお支払いいただきます。
- 当社が用意する政府指定の雇用契約書に雇用主とヘルパーが署名します。
- ご案内した必要書類を当社にて受取り、約3営業日でビザ資料を完成させます。
- 当社が香港イミグレーションのサイトからビザ申請日の予約をおこないます。
- ヘルパーは予約日にイミグレーションを訪問し、書類提出と面接を受けます。
- ヘルパービザが暫定的に延長され、約1ヶ月後に2回目の面接日時が設定されます。
- 2回目の面接で問題がなければ、約2週間後の最終訪問日と持参書類が案内されます。
- 上記3で署名をした雇用契約書を持ち、出身国の公的機関で認証を取得します。
- 最終訪問日に、パスポート、レター、ビザ費用を持ち、香港イミグレーションを訪問します。
- 問題がなければパスポートに新しいビザシールが貼られ、ビザ取得が完了となります。
下記は香港イミグレーションが用意しているビザ申請予約ページです。手続きに不安のある方は当社にてサポートしますのでお問合せください。
香港IDカードの申請から取得までの流れ
ヘルパーが香港IDカードを持っていない場合、ヘルパービザが許可されたヘルパーは香港に入国してから30日以内に香港IDカード(スマートIDカード)の申請をおこなってください。香港IDカードは香港での身分証明書の役割を果たしており、香港では常時携帯が義務付けられています。香港IDカードの取得後は、出入国時に自動入境ゲート(e道)を利用できるようになったり、公共機関の利用が可能になったりと生活上の利便性が高まります。香港IDカードの申請から取得までの流れは以下となります。
- 香港イミグレーションのサイトから申請予約の申し込みをする。
- パスポートを持ち、予約日にイミグレーションに行く。
- イミグレ担当官の指示に従い手続きを進める。(名前登録、写真撮影、指紋採取など)
- 仮IDの用紙を受け取る。(仮IDにはカード受取期間が記載されている)
- カード受取期日までに香港IDカードを受け取りにいく。
下記は香港イミグレーションが用意しているIDカード申請の予約受付ページであり、申請希望日時、手続きをおこなう場所や申請者情報(Prefill Form)の事前記入がおこなえます。IDカードが申請できる場所は現在「湾仔、九龍(深水埗、觀塘)、新界(火炭、元朗)」の5ヶ所であり、手続きに不安のある方は当社にてサポートしますのでお問合せください。
香港IDカードは本人によるイミグレーションでの手続きが必須であり、当社スタッフが同行する場合は別途2,000香港ドルにてサポートします。ヘルパービザの更新(延長)について
雇用中のヘルパーのビザ更新(延長)をおこなうためには、再び雇用主とヘルパーが雇用契約書を締結し、ヘルパー本人が各種申請書類を揃えて香港イミグレーションに提出する必要があります。ビザ資料の提出時には香港イミグレーションからのインタビューもあります。ビザ更新は現在の雇用契約が満了する8週間前から申請ができ、通常は当日中に2年間のビザが認められます。
なお、ヘルパーは2年間の雇用契約満了毎に、帰省休暇として7日間以上香港を離れて出身国へ一時帰国することがルールとなっています。帰省休暇を先延ばし(最長1年間)したい場合はビザ更新の際に香港イミグレーションから承認を得る必要があります。帰省休暇の往復の航空券代は雇用主が負担し、帰省休暇を有給・無給とするかは雇用契約締結の際に選択することになります。
ビザ更新サポート費用 3,000香港ドル
ヘルパービザを更新(延長)するための必要書類
雇用主
- ヘルパー雇用申請書(ID988B)
- 財務状況証明書のコピー
- 住居証明書のコピー
ヘルパー
- ヘルパービザ申請書(ID988A)
- 雇用契約書の原本(ID407)※認証必須
- パスポート原本
- 香港IDカードのコピー(保有者の場合)
ヘルパービザ更新(延長)の流れ
- ヘルパーの契約更新を決定後、当社にお問合せ・ご依頼をいただきます。
- ビザ更新の流れと必要書類をご案内し、サポート費用をお支払いいただきます。
- 当社が用意する政府指定の雇用契約書に、再び雇用主とヘルパーが署名します。
- ヘルパーは署名をした雇用契約書を持ち、出身国の公的機関で認証を取得します。
- 認証後の雇用契約書を当社にて受取り、約3営業日でビザ資料を完成させます。
- 当社が香港イミグレーションのサイトからビザ申請日の予約をおこないます。
- ヘルパーは予約日にイミグレーションを訪問し、書類提出とインタビューを受けます。
- 問題がなければパスポートに新しいビザシールが貼られ、ビザ取得が完了します。
※下記は香港イミグレーションが用意しているビザ申請予約ページです。手続きに不安のある方は当社にてサポートしますのでお問合せください。
雇用契約満了時や解雇時の対応について
ヘルパーとの契約更新をおこなわずに雇用契約が満了すると、ヘルパービザも同時に期日を迎えることになり、ヘルパーは契約満了日までに香港から一旦出国することがルールとなっています。雇用主による契約満了手続きは不要です。
雇用契約期間中のヘルパーを解雇する方法は2つです。1つ目は解雇日の1ヶ月前に通知をして解雇を知らせる方法、2つ目は1ヶ月分の給与を支払い即日解雇する方法です。ヘルパーも同様に、1ヶ月前通知もしくは1ヵ月分の給与を支払うことで雇用契約の破棄ができます。トラブル防止のためにも書面でのやり取りを残し、サインを交わしておくことが大切です。妊娠中や有給疾病休暇中などのヘルパー解雇は認められていませんので、特別なケースに該当する場合はご相談ください。また、雇用主は解雇日から7日以内に雇用契約解除通知書(ID407E)を香港イミグレーションに提出する必要があり、ヘルパーは解雇日から14日後にヘルパービザが失効します。
ヘルパーの契約満了時や解雇時に支払う給与や手当、期限については下記に案内しています。契約満了時や解雇時の給与と手当
契約満了時や解雇時の給与や手当は、雇用最終日から7日以内に支払うことがルールですが、ヘルパービザの期日が雇用契約終了日となることが殆どであるため、通常は雇用最終日に支払います。以下より給与や各手当をご確認いただき、トラブル防止のためにも支払い後は明細書を作成し、ヘルパーからサインをもらうようにしてください。
給与または未払いの給与
雇用最終日までの給与を支払います。日割りで計算をして支払う場合もあります。交通費や旅行手当
香港からヘルパーの母国の実家に戻るまでの旅行手当(1日100香港ドル)と交通費(航空券でも可)を支払います。退職金(解雇手当・長期勤続手当)
以下に該当する場合には退職金(解雇手当・長期勤続手当)の支払いが必要です。
- 同じ雇用主のもとで2年以上就労し、余剰人員整理(※)を理由に解雇または契約更新しなかった場合、解雇手当の支払いが必要です。
- 同じ雇用主のもとで5年以上就労し、ヘルパーの違法行為や余剰人員整理(※)以外の理由で解雇または契約更新しなかった場合、長期勤続手当の支払いが必要です。
※余剰人員整理とは、労働力が不要になった場合、引越しを理由に解雇した場合などのことを言います。
退職金(解雇手当・長期勤続手当)の計算方法は以下となります。上記の①と②の両方に該当する場合は、どちらか一方の手当てを支払うことで退職金の支払いが完了します。
月間給与(食事手当を含む) × 3分の2 × 勤続年数 = 解雇手当、長期勤続手当
例えば、ヘルパーを月給5,000HKDで6年間雇用していた場合は「5,000 × 3分の2 × 6」となり「20,000HKD」をヘルパーへ支払うことになります。未消化の有給休暇の買取り
ヘルパーに未消化の有給休暇がある場合、雇用主はヘルパーの1日分の給料(食事手当を含む)を計算し、有給日数分を買取らなくてはなりません。ヘルパーが途中で退職した場合は、就労日数に応じて有給休暇を案分します。
ヘルパーが取得できる有給休暇の最大日数は年14日間となります。1年目と2年目は就労完了日に7日間、3年目は8日間、4年目は9日間、5年目は10日間、6年目は11日間、7年目は12日間、8年目は13日間、9年目は14日間となり10年目からは9年目と同じく14日間の有給休暇が獲得できるルールとなっています。事前通知なしに解雇や退職をした場合
雇用主が事前通知なしにヘルパーを即日解雇した場合、ヘルパーには1ヶ月分の給与(食事手当を含む)を支払わなくてはなりません。反対にヘルパーが事前通知なしに即日退職した場合、雇用主に1ヶ月分の給与を支払わなくてはなりません。