香港で就労と出張を分ける基準と注意点
就労ビザと訪問者ステータスの違いを理解する

日本人を含む外国人が香港で働くためには、原則として就労可能なビザの取得が必要です。
ただし、短期間の出張や会議、視察など「訪問者(ビジター)ステータス」で認められている活動であれば、ビザなしで一時的に業務をおこなうことが許される場合もあります。
就労ビザが必要かどうかは、実際の活動内容によって判断されるため、このページで詳しく解説していきます。訪問者(ビジター)ステータスで認められる業務
日本のパスポート保持者はビザなしで香港に入境でき、その際のステータスは「訪問者(ビジター)」となります。このビジターステータスで認められるビジネス活動の範囲は明確に定められており、その範囲を超える業務は違法となります。
ビジターステータスで認められる業務範囲
- 契約の締結、入札への参加
- 商品の梱包または設備の設置に関わる検査や監督
- 展示会や貿易見本市への参加(商品販売やサービス提供禁止、展示ブースの工事や設置作業は禁止)
- 賠償履行及びその他民事訴訟
- 商品説明会への参加
- 短期セミナーやその他のビジネス会議への出席
- 講演会での登壇(7日以内、1種類、無報酬)
- STV制度で許可を受けた特定の短期活動(STV制度とは、医療や芸術など政府指定の12分野において認可された公的機関から招待された人が活動できる制度)
就労ビザの重要性と必要なケース

香港での展示会や催事などの短期イベントにおける商品販売、新規事業の立ち上げ、セミナーでの講師登壇、飲食店での接客業務の手伝いなど、多くの場合において就労ビザの取得が必要です。就労ビザを取得せずにこうしたビジネス活動を行った場合、香港イミグレーション(入境管理局)から不法就労と判断される恐れがあります。
香港では不法就労に対して厳格な処罰が科され、有罪判決を受けると執行猶予が付かず、即実刑となるケースがほとんどです。決して軽視すべきではありません。
たとえ出張であっても、「ビジターステータスで許される範囲内かどうか」や「従事する業務に就労ビザが必要かどうか」を事前に十分確認することが非常に重要です。無給の活動におけるビザの必要性

給料が発生しない業務やボランティア活動であっても、内容によっては就労ビザが必要になることがあります。ビザが必要かどうかは「給与の有無」ではなく、「従事する業務の内容」で判断されます。
業務内容が曖昧な場合や、ビザの要否の判断がつかない場合は、事前に当社までご相談いただくか、香港イミグレーションに直接ご確認ください。短期就労ビザの取得のポイントと注意点

短期就労ビザとは、「有効期間」「訪問回数」「1回あたりの滞在日数」が設定された就労ビザのことです。たとえば「1年間有効で、年3回まで訪問でき、1回の滞在は最大3日間まで」といった形で発給されます。
短期就労ビザのスポンサーは、イベント主催者やプロモーター、貿易会社など、香港側の受け入れ企業が担うのが一般的です。
短期就労ビザの取得には、通常4〜6週間程度かかるとされていますが、状況によっては3週間ほどで承認されることもあります。展示会やイベントなどを予定している場合は、少なくとも就労開始の1ヶ月半前までには、香港イミグレーションに必要書類を提出できるよう準備しておくと安心です。申請手順や費用の詳細については、短期就労ビザの取得や費用などの詳細ページをご覧ください。
なお、香港の法律では、不法就労者に対して最高罰金5万香港ドルおよび2年の禁固(香港入境条例第41条)、不法就労させた雇用主に対しては最高罰金35万香港ドルおよび3年の禁固(同第17I条)が科されると定められています。実際に、日本人が短期出張で訪問し、逮捕・起訴されて実刑となったケースも複数確認されていますので、ビザが必要とされる業務に従事する場合は、必ず事前に適切なビザを取得するようにしてください。
香港での就労やビザ取得に関してご不明点やご不安がございましたら、どうぞお気軽に当社までお問い合わせください。専門のスタッフが香港時間の平日9時から17時まで対応し、お客様それぞれの状況に最適なサポートを提供いたします。安心して香港でのビジネスに臨めるよう、全力でお手伝いいたします。