日港租税協定とは
日港租税協定の正式名称は「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行政区政府との間の協定」と言います。名称の通り、日本と香港間における二重課税の回避と脱税防止を目的とした協定です。
租税協定では、個人、法人及び法人以外の団体についての「日本の所得税、法人税、住民税」と「香港の利得税(所得税)、給与税、不動産税」が対象となります。
例えば、香港居住者に対して日本と香港で給与が発生している場合、合算して香港で納税します。日本で発生した給与分は一旦日本でも納税する必要がありますが、租税協定が結ばれていますので、最終的には香港で控除することができます。
また配当、利子、ロイヤリティの税率についても、下記の通り定められています。香港域内税率 | 日港租税協定 | 日本国内税率 | |
---|---|---|---|
配当 | 0% | 5%もしくは10%(注2) | 20% |
利子 | 0% | 10% | 20% |
ロイヤリティ | 4.95%(注1) | 5% | 20% |
(注1)ロイヤリティ金額の30%が見なし所得として課税対象になる。
(注2)議決権がある株式が10%以上を保有する場合は、5%が適応される。
(注2)議決権がある株式が10%以上を保有する場合は、5%が適応される。
日本子会社から香港親会社へ配当などの支払った場合、日本国内税率より日港租税協定の方が低いため、日港租税協定の税率で納税します。香港子会社から日本親会社へ配当などを支払った場合は、香港域内税率の方が低いため、香港域内税率で納税します。
配当などを受けとった日本親会社は、日本で課税されますが、配当であれば95%益金不算入となり、利子であれば外国税額控除が利用できます。ロイヤリティに関しては、通常通り日本で課税されます。
2014年12月10日に日本政府と中国香港特別行政区の間で日港租税協定(2011年8月14日に発行)の情報交換の規定に関する書簡が交換されました。新たに「相続税、贈与税、消費税」の租税も日港租税協定の対象として加わります。日本と香港間の二重課税の回避と脱税防止のため、これら租税対しても政府間で情報交換が行われることになります。
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