オフショア法人でのノミニー制度の仕組みと活用
ノミニー(Nominee)制度とは
ノミニー(Nominee)制度とは、法人の役員や株主を第三者名義で登記できる制度です。名義上の役員は「ノミニー役員」、名義上の株主は「ノミニー株主」と呼ばれます。この制度は、実際のオーナーや実質的に法人に関与する者に関する情報を、登記や書類上に直接出さないための仕組みです。
ノミニー制度を利用すると、会社定款や登記書類などの法人書類には、実際に法人を支配・管理している関係者の氏名が記載されません。そのため、第三者が法人情報を確認した場合でも、関係者個人の情報が把握されにくい構造となります。
一方で、当社でご案内しているオフショア法人の多くでは、制度上、株主や役員の情報が一般に公開されない仕組みが採られています。そのため、法人の設立や運営において、ノミニー制度を利用しなくても、登記情報が広く公開されません。
ノミニー制度を利用するかどうかの違いは、法人運営の実務において、実際の関係者がどこまで表に出て対応するかという点にあります。銀行口座の開設や、管理会社・取引先とのやり取りなどの場面で、実際の関係者が直接対応するのか、ノミニーを通じて対応するのかが、制度利用の判断材料となることがあります。
このように、ノミニー制度は必須の制度ではなく、プライバシーや情報管理をより慎重に行いたい場合に選択される任意のオプションです。関与範囲を限定したい場合や、情報管理上の理由から、状況に応じて利用されています。
ノミニーは「役員のみ」「株主のみ」といった形でも利用できますが、実務上、関係者情報の露出をより抑えたい場合には、役員・株主の双方でノミニーを利用するケースもあります。いずれの場合も、ノミニー制度は法人運営を補完するための仕組みであり、利用はあくまで任意です。ノミニー(Nominee)契約書について
ノミニー制度を利用する場合、ノミニー依頼者と、名義上の役員または株主との間で、「Nominee Agreement(ノミニー契約書)」を締結します。この契約書は、名義と実質的な権限・責任の所在を整理し、双方の役割を明確にするための重要な書類です。
ノミニー契約書に共通して盛り込まれる主な内容は、以下のとおりです。
- すべての責任は、ノミニー依頼者に帰属すること
- 法令により禁止されている行為を行わないこと
- ノミニー業務に支障のある事象が発生した場合には、速やかに相手方に通知すること
- 契約解除時には、必要な手続きを適切に行うこと
- ノミニー依頼者は、契約内容の履行状況を確認する義務を負うこと
ノミニー役員の仕組みと特徴
ノミニー役員を利用する場合、取締役や代表者などの役員が、第三者(個人または法人)の名義で登記されます。
ノミニー役員は名義上の役員として位置づけられ、日常的な事業運営や経営判断、業務執行には直接関与しない形で利用されるのが一般的です。
法人の意思決定およびそれに伴う責任は、基本的にノミニー依頼者に帰属します。ただし、契約内容や運用方針に基づき、依頼があった場合に限り、形式的または限定的な対応を行うことがあります。
いずれの場合も、ノミニー役員の関与範囲は契約によって定められ、実質的な経営主体が変わるものではありません。ノミニー株主の仕組みと特徴
ノミニー株主を利用する場合、株式は第三者(個人または法人)の名義で保有されますが、株式に関する実質的な権利や経済的利益はノミニー依頼者に帰属します。
ノミニー株主は名義上の株主として位置づけられ、事業運営や経営判断に直接関与しない形で利用されます。
株主としての意思決定権や経済的帰属は基本的にノミニー依頼者にあり、ノミニー株主が自らの判断で経営に関与することはありません。ただし、契約内容に基づき、依頼があった場合に限り、限定的な対応を行うケースがあります。
役員とは切り離し、株主名義のみをノミニーとする形で利用されるケースも多く、情報管理や関与範囲を限定する目的で選択されます。
ノミニー制度は、会社を実際に運営する人とは別の名前を、登記や書類上に用いるための仕組みであり、経営の実態や責任の所在が変わる制度ではありません。当社では、オフショア法人を含め、ノミニー役員・ノミニー株主のいずれにも対応したノミニーサービスを提供しています。利用を検討されている場合や、制度の適用可否を確認したい場合は、お気軽にご相談ください。

