香港での従業員との雇用契約期間について解説
香港での従業員との雇用契約期間のルールや定められている試用期間などについて詳しく解説していきます。雇用契約の解除や終了時の支払いなど、様々なケースも想定して解説しています。
目次
香港での雇用契約期間のルールについて
香港の雇用条例では、労使(雇用者または従業員)のいずれかによる雇用契約の解除申請が無い限り、1ヶ月毎に雇用契約が自動継続されると定められています。正社員やアルバイトといった雇用形態による雇用期間の区別はありません。雇用期間は契約書に記載されており、双方が合意した上でお互いが署名をして雇用契約を結びます。
また多くの会社では1年に1~2回の人事考課をおこない、従業員の「役職、給与、手当」などを見直します。「役職、給与、手当」を下げると雇用者側からの退職勧告と見なされることになる可能性があるため、基本的に下げることはありません。香港で定められている試用期間について
香港での試用期間は最低1ヶ月、最長で6ヶ月と雇用条例で定められています。試用期間中は、以下で定められた解雇予告期間前に通知するか、予告手当を一方へ支払うことにより雇用契約を終了することができます。試用期間中の解雇予告期間ならびに予告手当は以下のとおりです。
解雇予告の期間 | 予告手当 | |
---|---|---|
試用期間1ヶ月目 | 不要 | 不要 |
試用期間2ヶ月目以降※ | 7日以上 | 下記計算を参照 |
※試用期間2ヶ月目以降、契約により解雇予告の期間が定められている場合は、契約に定められた日数(7日以上)に従います。
事前の予告にかえて予告手当を支払う場合は、以下の計算式にて予告手当を支払います。
- 予告期間が日単位/週単位
(解除予告日の直前12ヶ月間に従業員が得た賃金の平均日額)×(予告期間において通常に賃金が支払われるべき日数)=予告手当の支払額
- 予告期間が月単位
(解除予告日の直前12ヶ月間に従業員が得た賃金の平均月額)×(予告期間の月数)=予告手当の支払額
雇用契約の解除について
雇用契約は労使双方とも、雇用条例で定められた解雇予告期間前に通知する、あるいは予告手当を一方へ支払うことで、契約を解除することができます。試用期間以降の解雇予告期間と予告手当は以下のとおりです。
解雇予告の期間 | 予告手当 | |
---|---|---|
契約により予告期間が定められている場合 | 7日以上の定められた期間 | 下記計算を参照 |
契約により予告期間が定められていない場合 | 1ヶ月以上 | 下記計算を参照 |
予告手当の計算式
- 予告期間が月単位
(解除予告日の直前12ヶ月間に従業員が得た賃金の平均月額)×(予告期間の月数)=予告手当の支払額
雇用契約の解除/終了時の支払いについて
雇用契約を解除する際あるいは満了の際の支払い金は以下のとおりです。
- 未払賃金
- 予告手当(もしあれば)
- 未取得の年次有給休暇の日数および当年度に付与される年次有給休暇の按分日数にかえた支払
- 未払年末手当および当年度の年末手当の按分額(該当する場合)
- 長期服務金または解雇補償金(該当する場合)
- 慰労金や積立基金など雇用契約において約定されたその他の金額
雇用契約の解除ができないケース
従業員が以下の状況にあるときは、解雇ができません。
母性保護 | 妊娠が証明され、妊娠通知を出している従業員 |
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有給傷病休暇 | 有給傷病休暇を取得中の従業員 |
行政機関への証拠もしくは情報提供 | 雇用条例の執行や、就業中の事故または調査において、従業員が証拠もしくは情報を提供したことを理由に解雇をしてはならない |
労働組合活動 | 従業員が労働組合のメンバーであることまたは、労働組合活動に参加したことを理由に解雇をしてはならない |
就労中の怪我 | 労働災害の補償に関して従業員との合意に達する前または、関連する証明書の発行前に労働災害で負傷した従業員を解雇してはならない |
予告なしで即時契約解除ができるケース
従業員が以下に該当する場合は、解雇予告または予告手当の支払いなしに雇用契約の即時解除(懲戒解雇)をすることができます。
- 合法かつ合理的な命令に故意に従わない場合
- 不正行為を行った場合
- 詐欺または不誠実行為を行った場合
- 常習的に職務怠慢である場合
なお、懲戒解雇は非常に重い制裁、かつ処分となります。従業員が重大な不正行為を犯した場合または、雇用主が繰り返し警告した後も改善されない場合にだけ適用されます。
また、雇用主が以下に該当する場合、従業員側から即時契約を解除することができます。
- 暴力または病気により、従業員が身体的危険にさらされるおそれがある場合
- 雇用主から虐待を受けた場合
- 従業員が5年以上雇用されていて、かつ登録医または登録中医の発行する証明書によって従事している業務に対して永久に不適であると証明された場合