香港で人材雇用をおこなう上で必要な福利厚生

香港で人材雇用をおこなう上で必要となる福利厚生について詳しく説明します。MPF(強制積立基金)、労災保険などの法定福利厚生だけでなく、会社が任意設定できる法定外福利厚生、その他のユニークな福利厚生についても解説していきます。

香港での福利厚生の必要性

香港の労働法で定められている福利厚生は2つに分かれます

香港には日本のような細やかな福利厚生はなく非常にシンプルで合理的です。福利厚生の種類は、香港の労働法で定められている「法定福利厚生」、会社が任意設定できる「法定外福利厚生」の2つに分かれます。

これまでの香港は、法定福利厚生のみを従業員に提供すれば十分でしたが、最近ではその必要性が変わってきており、法定外福利厚生を充実させることが重要となってきました。企業の求人広告に興味を示す応募者は、給与やボーナス以外の福利厚生や有給休暇の日数などを他社と比較して魅力を比べるようになっています。そのため会社側は、福利厚生について今まで以上に理解を深めていく必要がでてきています。

法定で定められている福利厚生にはMPF(強制積立基金)と労災保険があり、未加入であれば罰金や禁固刑に問われることがあるので加入は絶対に忘れないようにしてください。ただし、従業員がいない香港会社には加入の義務はありません。

MPF(強制積立基金)

MPFとは、Mandatory Provident Fundの略で強制退職積立金という意味になります。MPF は2000年に香港で開始された制度であり、日本の確定拠出年金に相当し法的義務があるものです。18歳以上65歳未満の従業員は雇用が開始されてから60日以内に加入しなければなりません。

MPFへの加入後は、給与の10%(会社負担5%、従業員負担5%)を従業員の積み立て口座に積み立てていきます。給与上限は3万香港ドル(MPF負担額の上限はそれぞれ1,500香港ドル)と設定されているため、3万香港ドルを超えた分のMPFの支払いは免除されます。給与が7,100香港ドル未満の従業員はMPFの支払いが免除となり、雇用主においては5%の負担が必要です。なお、法定額の給与の10%(会社負担5%、従業員負担5%)の上限額を超えて、それぞれが任意で増額することも可能です。

MPFの算出根拠となる給与とは、基本給、住宅補助手当、ボーナスやダブルペイなどのすべてが含まれますので合わせて覚えておくと良いでしょう。当社では日本語でのMPFの加入サポートをおこなっていますのでお気軽にご相談ください。

労災保険

労災保険は、香港で従業員を雇用する会社に加入が義務付けられており、通勤途中や仕事中の事故やケガ、業務が理由となり病気にかかった場合などに備えた保険となります。従業員の採用前に加入して空白期間ができないようにしなければなりません。

また、香港の一般家庭ではホームヘルパーを雇うことが多くあります。ホームヘルパーを雇用する際にも労災保険に加入しなくてはなりません。当社では日本語での労災保険の加入サポートをおこなっていますので、労災保険を検討している方はお気軽にお問合せください。

会社が任意設定できる法定外福利厚生

会社が任意設定できる法定外福利厚生は、ボーナス設定や有給休暇日数などはもちろんのこと、香港で代表的なものとしては医療保険や通勤交通費があります。任意設定をおこなうことで、会社側は自社の魅力の一部として従業員を惹きつけることができます。下記に香港で一般的な法定外福利厚生についてご紹介いたします。

医療保険

香港には、日本の健康保険制度のようなものはありません。そのため、一般的には個人で医療保険を購入することが多いのですが、会社が福利厚生として医療保険を提供すれば従業員の負担が軽減されます。加入する保険の内容やサービス料は各保険会社によって異なり様々です。

また、医療保険の対象には、一般診療や手術、入院などが含まれますが、歯科医での診療や治療、中医(漢方、整骨、針灸など)はオプション加入となる場合があります。さらには、保険会社が指定する病院、クリニック、診療所などでなければ請求(クレーム)できない場合もあり、加入する保険会社やプランによって違いがあります。

請求(クレーム)の方法は一般的に2つに分かれます。保険会社の加入カードを提示することで診療や医療費を支払う必要が無いものや、後日保険会社に請求し1回あたり300~500香港ドルの還付がされるものとなります。

当社でも医療保険加入サポートをおこなっていますので、医療保険への加入や福利厚生の充実を検討している方はお問合せください。

通勤交通費

香港では通勤交通費を会社が支払う必要がないため自己負担となるのが一般的ですが、一定額(500香港ドル、1000香港ドルなど)の通勤交通費を負担する会社はあります。日本のような定期券はないため、従業員の居住地や勤務時間を目安として不公平感が生まれないように設定することが大切です。

こうした任意の福利厚生を公平に提供するように、当社では労務アドバイスをおこなっております。諸問題を抱えている企業様も含めてお気軽にご相談ください。

その他のユニークな福利厚生

ランチ手当などユニークな福利厚生もあります

これまでご紹介してきた福利厚生以外にも、企業側はユニークな福利厚生を用意することがあります。例えば、「ランチ手当、社販割、出張手当、住宅手当、家族の医療保険、MPF任意加入分の付与、誕生日や記念日の休暇、社外研修手当、学費の補助」などです。企業が自社らしさを求めて任意の福利厚生を検討することが増えてきましたが、福利厚生を提供する前に全ての従業員にとって公平であるかを確認することも重要です。また、万が一福利厚生の変更や解除をおこなう場合、法的に正しく変更や解除をしなければ労使問題に発展するケースがありますのでご注意ください。

当社では、こうした福利厚生のアドバイス、労使・労務問題についてのアドバイスもおこなっておりますので、問題が大きくなる前、検討・提供する前にご相談ください。

電話相談(日本人が対応)
(+852)2529-8288
受付:9:00〜18:00/月〜金(祝日は除く)
メールでのお問合せ 香港の人材紹介(転職・求人)ページ