香港で活用できるノミニー制度(Nominee)とは

ノミニー制度(Nominee)とは、法人の役員や株主を第三者名義で登記できる制度のことであり、名義上の役員を「ノミニー役員」、名義上の株主を「ノミニー株主」と言います。このページではノミニー制度を活用した場合の会社設立の流れ、ノミニー役員と株主の詳細情報、ノミニー制度の活用における注意事項について解説していきます。

ノミニー制度(Nominee)とは

ノミニー制度とはプライバシー保護を目的とした合法的な制度です

ノミニー制度(Nominee)とは、法人の役員や株主を第三者名義で登記できる制度のことであり、名義上の役員を「ノミニー役員」、名義上の株主を「ノミニー株主」と言います。香港法人やその他のオフショア法人では、ノミニー制度を利用して法人登記をおこなうことができます。プライバシー保護を目的とした合法的な制度であるため、香港では一般的に利用されています。

ノミニーには、「法人ノミニー」と「自然人(個人)ノミニー」があり、名前の通り、法人がノミニーとなるか、個人がノミニーとなるかの違いとなります。それぞれのノミニーの手配は当社でご提供ができますのでご興味のある方はお問い合わせください。

ノミニー制度は、会社の株主や役員であることを第三者に「知られたくない、または知られてはならない」という方が活用することが多く、とくに各業界で知名度のある企業や有名人、資産家などから多く活用されます。知名度が高いことは会社運営上でメリットのようにも思われますが、第三者からの注目度が必要以上に高くなることで会社運営上での支障が起きることも考えられるため、会社が軌道に乗るまではノミニーを活用し、会社が軌道に乗った段階でノミニーを解除するという方もいます。

なお、香港法人は香港会社登記所(Companies Registry)に費用を支払えば、第三者が過去から現在までの「株主、役員、資本金、登記住所、会社秘書役」などの情報を取得できてしまうため、個人情報を守りたいという方はノミニー制度の活用が最適になります。
一方、BVI、セーシェル、アンギラやベリーズなどのオフショア法人は、第三者が現地エイジェントなどに依頼をしても会社情報の取得ができないため、ノミニー制度はあまり活用されることがありませんが、プライバシー保護を厳重におこないたいという方には活用されることがあります。

ノミニー制度を活用した会社設立の流れ

ノミニー制度を活用した香港会社設立の一般的な流れを以下にご案内します。オフショア法人も同様の流れでノミニー制度が活用されることが多いといえます。

  1. 会社設立時にノミニー制度を活用したい旨をお伝えいただく。
  2. ノミニー依頼者から事業内容などの詳細をいただきノミニー受託者に伝える。
  3. ノミニー受託者がノミニーとなるかを審査・検討する。
  4. ノミニー受託者がノミニーとなる場合は手続きに進む。
  5. ノミニー依頼者とノミニー受託者で、ノミニー契約書類を締結する。
  6. ノミニー受託者の名義で会社設立の手続きをおこなう。
ノミニーとなることを拒否することがあります

ノミニー受託者は全てのノミニー依頼を引き受けるわけではありません。ノミニー受託者は、ノミニー依頼者の会社の責任を追うことはありませんが、会社運営上でトラブルが発生した場合には、弁護士や香港当局などによる調査や情報提供、裁判所への出廷など求められる可能性があるため、ハイリスクな内容であると判断すればノミニーとなることを拒否することがあります。

また、ノミニー制度は既存の香港法人で活用されることはほとんどなく、新規で香港法人を設立する方に多く活用されます。その理由は、香港法人は第三者が香港の会社登記所(Companies Registry)に費用を支払えば、過去から現在までの「株主、役員、資本金、登記住所、会社秘書役」などの会社情報を取得できるため、既に存在している香港法人では活用されないことがほとんどです。

ノミニー役員について

香港法人では自然人(個人)の役員を入れることが義務となっています

香港法人では1名以上の自然人(個人)の役員を入れることが義務となっていますので、法人ノミニーのみでは香港法人を設立することができません。BVI、セーシェル、アンギラやベリーズなどのオフショア法人は、法人だけの役員が認められていますが、オフショア法人を香港に支店登記する場合には香港在住の自然人(もしくは弁護士事務所等の専門家会社)を代表者として香港で登記する必要があります。

ノミニー依頼者とノミニー役員は「Nominee Agreement」という契約書を締結します。契約書類の基本的な内容は以下の通りですが、ノミニーサービスを提供する各社で契約書内容が異なる場合があります。また、契約内容に補足や変更がある場合は双方で協議をし、契約書類を完成させるのが一般的です。

  • 全ての責任はノミニー依頼者に帰属される。
  • 法律で禁止されている行為をしてはならない。
  • ノミニー業務に支障のある事象が起きた場合は速やかに知らせる。
  • ノミニー役員はいつでも契約を破棄できるが、適切な処理をおこなう義務がある。
  • ノミニー依頼者には、ノミニー役員の業務遂行を確認する義務がある。

ノミニー株主について

香港法人やオフショア法人の株主は法人でも可能です

香港法人やオフショア法人の株主は法人でも自然人(個人)でも構いません。香港法人の役員のように自然人を入れなければならないという決まりはありません。

ノミニー依頼者とノミニー株主は「Declaration of Trust」という契約書類を締結します。契約書類の基本的な内容は以下の通りですが、ノミニーサービスを提供する各社で契約書内容が異なる場合があります。また、契約内容に補足や変更がある場合は双方で協議をし、契約書類を完成させるのが一般的です。

  • ノミニー株主は、ノミニー依頼者の代理人として株式を保有する。
  • 全ての配当や利子などの権利は、ノミニー依頼者に帰属する。
  • ノミニー株主は、株主総会に出席することができる。
  • ノミニー株主は依頼者の指示に従い、株式から生じる一切の権利や義務を行使する。
  • 株式に関連する費用が発生した場合、ノミニー依頼者に請求できる。

ノミニー制度における注意事項

ノミニー制度の注意事項

ビジネスなどの契約において、ノミニー受託者の名義を使用する必要がある場合は、トラブル防止のためにもノミニー受託者からの許可を必ず得てください。許可なく名義などを使用した場合には契約破棄だけでなく、損害賠償請求、刑事罰などに発展する恐れがあるため注意しなければいけません。

銀行での法人口座開設をおこなう場合にも注意が必要です。ノミニー制度を活用している会社が法人口座申請をすると、銀行担当員からノミニー制度を活用している理由を問われます。この質問に対して適切な回答ができなければ法人口座開設は成功しません。特に銀行側はマネーロンダリングなどの違法行為への警戒を高めています。また、法人口座申請時には銀行員から「口座のサイン権限や操作権限」を誰に設定するかを尋ねられます。一般的にこれらの権限はノミニー依頼者に設定し、ノミニー受託者に銀行口座の権限を与えることはありません。そうすることでノミニー受託者は銀行口座に一切アクセスすることができなくなります。

なお、銀行側にノミニー制度を活用していることを伝えると口座開設の成功確率が低くなるため、リスクを理解した上でノミニー受託者に銀行口座開設のすべてを任せる企業も多くあります。

ノミニー制度に関連することならお任せください。法人や自然人(個人)のノミニー役員やノミニー株主をご提供しています。当社では香港法人設立や会社秘書役業務など、香港法人の管理や運営に関してのフルサポートをおこなっています。
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