フィリピン人ヘルパーの賃上げを要求 中国本土へ流出の恐れ

香港で働くフィリピン人ヘルパーの最低賃金を現状の月4,410香港ドル(約61,740円)から月5,500香港ドル(約77,000円)に引き上げるように在香港フィリピン総領事が香港政府に要求しました。現在、中国側がフィリピン人ヘルパーの受入れを検討しており、高い賃金が予想されていることから人材流出を懸念し、フィリピン総領事が行動に出たとみられています。
またフィリピンの労働雇用大臣は先日、ドバイのGulf News新聞にて「北京がフィリピン人ヘルパー、料理人、ミュージシャン、看護師の受け入れを検討している。香港以上の賃金であれば人材が流出するだろう。フィリピン人教師には月11,800香港ドル(約165,200円)が支払われるという話が進んでいる。」と述べたことも影響していると考えられており、香港にあるアジア移民調整連盟も「香港内のフィリピン人ヘルパーには元教師も多いので人材流出の恐れがある。」とコメントをしました。
現状、中国ではフィリピン人ヘルパーの受け入れは許可されていませんが、非公式ですでに30万人のフィリピン人ヘルパーが中国本土で勤務しており、報酬は月8,600香港ドル(約120,400円)程度であることが香港メディアSCMPの取材で分かっています。
香港には約37万人の外国人ヘルパーが勤務しており、そのうち約半数がフィリピン人ヘルパーです。フィリピン人ヘルパーが他国に流出すれば多くの香港居住者に影響を及ぼすでしょう。
2017年7月時点でのフィリピン人ヘルパーの労働賃金は以下の通りであり、香港は他国に比べて低賃金でヘルパーが雇用されていることも分かります。
※香港は2017年9月に一度賃上げしています。
17,400香港ドル (約243,600円) ■フランス 週40時間勤務
13,500香港ドル (約189,000円)
■カナダ (1日8時間で時間外は残業代支給)11,000香港ドル (約154,000円)
■韓国 (非公式の雇用も含む)10,500~14,000香港ドル (約147,000~196,000円)
■日本 1日8時間で時間外は残業代支給8,500~12,700香港ドル (約119,000~177,800円)
■台湾 住み込み食事付5,170香港ドル (約72,380円)
■香港 住み込み食事付4,310香港ドル (約60,340円)
■シンガポール平均3,400香港ドル (約47,600円)
■マレーシア最低3,100香港ドル (約43,400円)