中国で審議中の「国歌法」香港でも適用か

更新日:2017年06月26日
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中国で審議中の「国歌法」

現在、中国の全国人民代表大会常務委員会(中国の最高国家権力機関)で「国歌法」の草案審議がおこなわれており、香港議員の梁美芬女史が「中国で国歌法が制定されれば香港にも導入されるべきで、その可能性は高い」と発言したことが物議を醸し、多くの香港メディアで取り上げられています。

「国歌法」とは、国家の式典や大きなスポーツ大会などの7つの重要な場面で、中国国歌「義勇軍進行曲」を歌うことが求められる法律です。また国歌を歌う際には起立を行い厳粛な態度で臨む必要があるとも定められており、もし国歌を貶めるような替え歌を作ったり、国歌の尊厳を害するような歌い方をした場合は最長で15日間拘留されることになります。

近年の香港では、サッカーの試合で中国国歌が流れるとサポーター達が一斉にブーイングをおこなう姿が目立っていますが、国歌法が制定されるとブーイングを行ったサポーター達は全て逮捕されることになります。これに対して香港インターネット上ではショックを受ける声が多く、中国や香港政府を罵る声が多くありました。

また、国歌を民間の広告宣伝や携帯の着信音に使うことを禁止する案も検討中とのことです。現状、中国では国歌が着信音やインターネット上など様々な場面で使われていますが、このような使い方は国歌の威厳を損なうとして不適切だと議論されているようです。

ちなみに中国国歌の作詞者「田漢(Tian Han/デン・カン)」は中国の有名な劇作家ですが、1917年に叔父に付き添って来日。日本では最初は海軍に入り、その後東京師範学校(現在の筑波大学)で学んだそうです。1920年に中国に戻り、1932年に共産党に入党、1935年に「義勇軍進行曲」を作詞。その後、芸術局の局長などを務めましたが、1966年からの文化大革命ではこれまでに作った作品が「反共産党」だと言われ、また、彼の持つ歴史や民族的文化に対する意識の原点が日本文化に依拠していることなど批判の対象となり逮捕投獄され、1968年後に獄死したそうです。これにより4大悪漢の1人として扱われ、彼の作詞した国歌は歌われなくなりましたが、1979年に名誉が回復され、1982年に義勇軍行進曲がふたたび国歌と定められました。